2012 Fiscal Year Research-status Report
運動実践による自然免疫活性化の制御と肥満関連脂肪性肝疾患の進展予防
Project/Area Number |
24650436
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
富樫 真二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70361350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
大森 肇 筑波大学, 体育系, 教授 (20223969)
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60264876)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 肥満関連肝疾患 / 脂肪性肝疾患 / 自然免疫 / 転写因子 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
肥満は自然免疫系の活性亢進を特徴とする慢性の炎症障害であり,自然免疫系は肥満関連肝疾患の発生とその進展の病態に深く関与している.肥満関連肝疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防と治療には,食事・運動療法以外にコンセンサスが得られた方法はない.しかしながら,運動療法がNAFLDに対して有用であることの分子メカニズムは未だ解明されていない.一方,転写因子Nrf2は,抗酸化ストレス防御機構の発動や自然免疫の活性化を制御する司令塔である.本研究では,運動が転写因子Nrf2の賦活化により抗酸化ストレス応答を発揮し,炎症病態と酸化ストレスレベルの軽減により,NAFLDの予防と治療に有用であるとの仮説のもとに実験を進捗させた. 中年肥満男性に対して施行した減量のための運動療法では,介入前後において, VO2 max,adiponectinの増加,体重,腹部脂肪面積,体脂肪率,HOMA-IR,AST,ALT,ヒアルロン酸,フェリチン,TBARS,高感度CRP,Leptinの減少が認められた.また,末梢血白血球における各Nrf2標的分子の異物代謝酵素NQO1,抗酸化分子; HO-1,炎症因子; COX2の減少が認められ,運動による転写因子Nrf2の賦活化が誘導されること,Nrf2の活性化による自然免疫系の活性化抑止に関連した糖および脂肪の代謝機能の向上が誘導されるものと推測された. 一方,動物実験では,高脂肪食にて作製した脂肪肝が,約2ヶ月間の野生マウスでは運動により改善するが,Nrf2欠失マウスでは改善しないことが判明している.運動はNrf2を活性化し,さらに,骨格筋はNrf2介在性に各種分泌蛋白を産生し,それらの一部には,異所性臓器脂肪の脂肪融解作用があるものと推測される.今後,本所見はNAFLDに関する運動療法のエビデンスを築いていく上で重要な研究成果である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
運動が転写因子Nrf2を活性化し,抗酸化ストレス応答を発揮し,炎症病態と酸化ストレスレベルを改善することが判明し論文投稿中である.動物実験については,トレッドミルテストを行い最大走行距離の測定にて,Nrf2の活性化が運動耐容能力を増大させることが判明したが,未だ背景に存在するメカニズムは解明出来ていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
運動療法が中年肥満男性において,転写因子Nrf2を活性化し,抗酸化ストレス応答を発揮し,炎症病態と酸化ストレスレベルを改善することが判明した.一方,動物実験においては,高脂肪食にて作製した脂肪肝が野生マウスでは運動により改善するが,一方,Nrf2欠失マウスでは消失しないことが判明している.今年度は,Nrf2介在性に生成される骨格筋由来の新規分子について探索研究を進めていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Nrf2介在性に骨格筋で産生される新規分子について,トレッドミルテストを施行したマウスについて,あるいは培養骨格筋細胞について細胞ストレッチ装置を用いて,筋細胞の収縮を反復させる.トレッドミルテスト前後のマウス血液と骨格筋,あるいは培養上清と細胞ペレットを用いて,網羅的遺伝子解析とプロテオーム解析を行い,新規分子の同定を行う.
|
Research Products
(5 results)