2012 Fiscal Year Research-status Report
味覚情報伝達機構からみたGABA添加塩の減塩効果の有用性についての研究
Project/Area Number |
24650484
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
森 美奈子 京都文教短期大学, その他部局等, 講師 (30469530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植野 洋志 奈良女子大学, その他部局等, 教授 (30241160)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食品 / 機能性成分 / 減塩 |
Research Abstract |
減塩は、生活習慣病の予防、高血圧症、腎臓病、心疾患にとって有効な予防・治療効果であるが、減塩の食事療法のために現在市販されている減塩塩はカリウム塩のみであり、塩分制限と同時にカリウム制限が必要である腎疾患患者や心疾患の患者には使用が制限される場合がある。味覚の面でもナトリウム塩に比べて官能的に劣る。そこで、すでに奈良女子大学植野(研究分担者)らによって報告されているGABA(γ―アミノ酪酸)の活性酵素であるGADが塩味増強に関与していると示唆されていることから、食塩そのものの量を減らしても減塩前と同じ塩味を感じることができる味覚の情報伝達機構からみた新たな減塩塩の有用性についての研究を行い、生活習慣病の予防や減塩が必要な疾病の治療に役立てることを目的として、本研究に取り組んだ。①GABAを多く含む食品を食塩に添加し、味覚面での減塩効果の有用性を探求するために、既存の食塩と塩味増強効果が予測される物質を食塩に添加し、官能比較評価で予備実験を行い、未知の物質の探索を行った。→食塩に添加し、塩味増強効果があると予測される物質として、官能評価の結果から、酵母や乳酸菌、オリザギャバに塩味増強効果があることが示唆された。また、その添加濃度についても探索したところ、添加物質によって、0.5%、1.0%濃度の添加が有用であることが示唆された。②随時尿(Na/クレアチニン[Cr]比)での評価方法の手法を用いて、食塩摂取量と秤量法による食塩摂取量との相関関係を探索した。秤量法による食塩摂取量は調査精度にまだまだ問題があり、予測された随時尿による食塩摂取量との相関関係は、あまりみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
官能評価により、生理食塩水と同じ濃度の食塩水をコントロールとして、様々な物質の塩味増強効果を探索した。初年度の研究計画では、課題Iが、GABA添加塩の味覚面での減塩効果の有用性を探求することが目標であったが、GABAそのものだけではなく、GABAを多く含む物質での塩味増強効果を探索し、すでにいくつかの物質に塩味増強効果があるではないかと推察されているので、概ね、計画通りに進展している。 初年度の課題IIでは、GABA添加塩での生理・生化学的減塩効果の考察が研究目標であるが、食事調査と随時尿による食塩摂取量の評価は、既に実施した。しかし、当初の予想に反して、秤量法による食塩摂取量と随時尿による食塩摂取量に大きな差が見られたので、その実験精度について再検討を行なっており、考察には至っていない。また、食塩感受性の遺伝子診断についても、味覚面での閾値官能評価の方が、より関連が深いのではと推測されたので、まだ実施していない。しかし、全体の研究計画では、概ね遅れることなく、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、塩味増強効果があると推測される酵母や乳酸菌、オリザギャバの官能評価を味覚センサーを用いた客観的な測定手法により、科学的なデータを集積して実証していきたい。また、これらの物質以外の未知の物質についても、さらに探索を進めていきたい。また、塩味増強効果のある物質とGABAの酵素であるGADとの相関関係についても実証していきたい。また、官能評価については、訓練されたパネラーに依頼し、より精度の高いデータを集積して塩味増強効果のある物質の濃度についても実証を遂行したい。 そして、塩味増強効果がある物質の特定ができれば、実際に食塩に添加し、調理面での有用性についても更に検討を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本計画を遂行するにあたって、試料代、味覚センサーによる分析費用、官能評価分析費用、遺伝子解析費用、試料分析のための検査キット、情報収集や研究発表のための出張旅費、研究補助者への謝金を計上する。 また、データ分析のために付随する消耗品として、プリンターを計上する。
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Research Products
(1 results)