2015 Fiscal Year Annual Research Report
味覚情報伝達機構からみたGABA添加塩の減塩効果の有用性についての研究
Project/Area Number |
24650484
|
Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
森 美奈子 京都文教短期大学, 食物栄養学科, 准教授 (30469530)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植野 洋志 龍谷大学, 農学部, 教授 (30241160)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 減塩 / GABA / 味覚センサー / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,すでに龍谷大学植野(研究分担者)らによって報告されているGABA(γ―アミノ酪酸)の塩味増強効果を利用し,食塩そのものの量を減らしても減塩前と同じ塩味を感じることができる味覚の情報伝達機構からみた新たな減塩効果のある食塩の有用性についての研究を行い,生活習慣病の予防や減塩が必要な疾病の治療に役立てることを目的とした。 近年、GABAは血管収縮作用伝達物質であるノルアドレナリンの分泌を抑制し,血圧を下げる働きがあることから,血圧が高めの方への特定保健用食品として緑茶や飲料に添加されている。GABAを合成する酵素として発見されたGADについては,高等動物では、米国UCLAのAlan Tobinらにより分子量の異なるアイソフォーム(GAD65とGAD67)の存在が示され,GAD67が代謝系で,GAD65が神経系で作用していると理解されている。 近年,Ⅲ型味蕾細胞内でGAD67が特異的に発現することが明らかにされ,GADが味覚の情報伝達に関与することを示唆されているが,特に,Ⅲ型味蕾細胞内にはクロライドイオンチャンネル型受容体である塩味と酸味の受容体が存在し,GABAはそのリガンドでもあることから,GAD67は味覚の中でも塩味(NaCl)や酸味(HCl)の情報伝達に関与していることが考えられている。すでに,植野らは官能試験による検討で,GABAの添加で塩味が強調される傾向にあることを明らかにしている。本研究では,GABAを多く含む食品を食塩に添加した時の味覚上の変化を味覚センサーによる味評価やヒトによる官能面で評価した結果,減塩効果のある物質を確認できた。今後は,加工食品への応用を検討し,食塩の摂取量を低減することで,高血圧症の予防,減塩を必要とする患者の食事療法の一助としたい。
|