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2012 Fiscal Year Research-status Report

受講者と探るカワバタモロコの絶滅過程

Research Project

Project/Area Number 24650598
Research InstitutionUniversity of Hyogo

Principal Investigator

田中 哲夫  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40244694)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsカワバタモロコ / 絶滅危惧種 / 再導入 / カンニバリズム / ため池
Research Abstract

驚異的な初期増加に続く個体群の縮小:干上がった池に雄雌各10個体の絶滅危惧種カワバタモロコを新たに導入しその後の数を追跡した。A池では一年後に5,318個体・二年後に5,703個体に、B池ではそれぞれ4,243個体・10,119個体に、C池ではそれぞれ1,210個体・1,984個体に増加し、新たに放流された池で、カワバタモロコは驚異的な増殖速度を示すことが明らかになっている。ところが、次々年度には、何れの池においても上記のようにその増殖速度は急激に低下し、やがて密度は減少する.
卵捕食自滅・カニバリズム説の検証:この個体群の縮小要因として、スジエビやメダカなどカワバタモロコの想定卵捕食者の影響、酸欠による卵および仔魚の窒息死など、もろもろの減少要因を検討した。産卵期のカワバタモロコは、極めて高い頻度で多量の自身の卵を捕食していることから、もっとも有力な個体群の減少要因は、他の捕食者ではなくカワバタモロコ自身の卵捕食であることが明らかになりつつある.
自滅を防ぐ構造としての水陸移行帯:カワバタモロコをはじめとしたコイ科魚類の産卵場所や仔稚魚の生息場所として、湖や池の水陸移行帯が重要視されてきた.この空間は、他の捕食者からの避難場所としての効果を発揮していると信じられてきた.だが水陸移項帯の主な機能は自身の卵を食い尽くすことが困難な構造を水生植物が提供し、自滅のスピードを遅くしているのではあるまいか.モツゴと共存するケースでの卵捕食の実態、水生植物の種やスジエビなど他の捕食者との絡みの中での卵捕食について検証する.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

①6池での溶存酸素などの環境要因の測定,想定捕食者メダカやヤゴの密度の観察記録を継続し,年に一度実施しているカワバタモロコの個体数推定を継続し順調に個体群変動の実態を捉えている.②産卵期のカワバタモロコと他の想定捕食者の資料から,卵・仔魚の捕食者はカワバタモロコの親魚自身とメダカおよびトンボヤゴであることが示唆されている.③絶滅回避に必要不可欠な再導入が成功する放流池の条件を特定,「生態的放流適池」のガイドラインを策定した.④mtDNA分析によるハプロタイプ分析を行い遺伝的多様性を考慮した「遺伝的放流適池」のガイドラインを策定した.⑤企業ビオトープ池・学校ビオトープ池・個人所有池への移植放流の提案とモニタリングシステムを確立した.⑥既に小学校のビオトープへの放流を試み半ば成功している.

Strategy for Future Research Activity

絶滅シナリオの解明
仮説①酸欠
ジュンサイが崩壊し緑藻類が大増殖すると(浮葉植物の消滅)その呼吸による底層での無酸素条件が,卵や仔魚の死亡率を高めることの検証.仮説②スジエビ・トンボヤゴの捕食圧の精査.仮説③自らの卵捕食数池で少数のカワバタモロコ導入後の個体群変動を追跡しているが,いずれの場合にも導入後三年目には二年目の増加率より大きく減少する.これまで,増加率の減少は「環境収容力」近くに達して餌資源不足になるため,あるいはスジエビなど他の捕食者が増加するためと考えられてきた.だが導入二年目と三年目とで大きく変わる生物的環境要因は,実はカワバタモロコ自身の密度.カワバタモロコ自身の卵捕食(カニバリズム)ではないかという予測がたつ.数例ではあるが2008年に卵捕食を確認しており,普遍的な現象であり個体群変動の主要因であるかどうかを,カワバタモロコの産卵行動の写真撮影を行い、その捕食量の定量化を試みる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

月毎の生息ため池の環境要因の測定と、年一回の博物館実習講座を利用しての個体数推定は継続する。またカワバタモロコ自身の卵・仔魚捕食を水中写真で捉え、カンニバリズムの証拠をおさえ、その捕食の大きさを個体群変動のデータから推定する。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ビオトープ池におけるカワバタモロコの定着過程

    • Author(s)
      田中哲夫 佐藤裕司
    • Organizer
      日本生態学会
    • Place of Presentation
      グランシップ(静岡)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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