2012 Fiscal Year Research-status Report
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24651111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 英樹 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10374670)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 不規則構造 / 光局在 / ランダムレーザー |
Research Abstract |
本研究では、異なる光学特性を持つ不規則構造の多層化と多重散乱による光局在効果の相乗効果を利用した新しい表面光捕集構造の提案・開発を行うことを目指している。 本年度は、新しい表面光捕集構造の設計・作製を進める前に、本課題の基となった不規則構造中の局在モード制御手法の実証実験を行った。実証実験には、均一なサイズ・形状を持つナノ粒子が必要であるため、九大・先導研の辻助教と共同で、液中レーザー溶融法を用いて市販粒子から均一な形状・サイズを持つ酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子の作製を行った。その結果、平均粒径100nmのいびつな形状を持つZnO粒子を液中に分散し、UVパルスレーザーを90分間照射した所、粒径212nm±30nmの形状が球状で均一なZnOナノ粒子の作製に成功した。本方法を用いれば、様々の材質・サイズの均一なナノ粒子を作製できる事が明らかとなった。 さらに、このZnOナノ粒子を散乱体として用い、同時に欠陥として高分子微粒子を分散させた溶液をガラス上に滴下・乾燥させ、ZnOナノ粒子フィルムを作製した。均一化ナノ粒子フィルム中の欠陥領域での局在モード制御の実証を行うため、このZnOナノ粒子フィルムをUVパルスレーザーで励起し、欠陥内外において誘起されるレーザー発振挙動の観測を行った。その結果、欠陥において強く束縛された発振スポットを確認し、通常のランダムレーザー発振の特徴(マルチモード、スペクトルのナローイング)とは全く異なる特異な発振状態(低しきい値のシングルモード発振)が確認できた。また、ナノ粒子の粒径から予想された波長帯域でレーザー発振が誘起された事から、均一化ZnOナノ粒子を用いる事により局在モードが制御される事を示した。この結果は、不規則な構造を用いても優れた光学特性を持った安価・簡便・大面積な光学媒質を作製できる事を示す、重要な知見を与える画期的な成果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、異なる光学特性を持つ不規則構造の多層化と多重散乱による光局在効果の相乗効果を利用した新しい表面光捕集構造の数値計算や試料の作製を行う事にしていた。しかし、本課題の基となった誘電体ランダム構造中の欠陥領域による局在モード制御技術の実験的な検証研究に著しい進捗があり、本課題に密接に関連する重要な実験課題でもあることから、当初計画を変更し、本研究を優先的に行う事とした。このため、当初の計画から遅れが生じてしまったものの、得られた成果は、本課題である「不規則構造を利用した高効率光捕集構造の開発」の実際の構造のデザインや試作を行う際に重要な知見・要素技術となるため、本年度の研究進捗にとってメリットとなると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果により、数値解析的にしか予想されていなかったランダム構造による媒質の光学特性の制御が実際に可能である事が示された。この結果は、ランダム構造の光学特性を、任意に作製した均一化ナノ粒子の共鳴特性で制御できる事を示唆しており、本課題にとって重要な知見・要素技術を確立する事が出来たと考えている。 この結果を踏まえ、本年度は、数値解析による構造条件の探索と、得られた結果を基に試作した構造の特性評価を行う事によって、本提案構造の設計指針の確立を目指す。また、ランダムレーザー発振制御の実験に関しても、散乱体サイズや欠陥サイズ、および、散乱体の材質等の構造パラメータを変えた実験を継続して行い、多層化ランダム構造の光学特性についての知見を蓄積し、年度末までに提案構造の実験的なデモンストレーションの実現を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度である今年度は高価な備品についての購入予定は無く、必要な備品に付いては研究室既存の装置を流用する予定であり、試料を試作するための消耗品類(各種粒径のナノ粒子や色素分子)と光学系構築のための光学部品類を購入するための予算を計上する。尚、平成24年度に生じた未使用額は、平成25年度に実施する計画のうち、光学部品類購入費用の一部に充てる予定である。また、継続してランダム構造の光学特性の数値解析を行うために、3次元電磁波解析ソフトウェア(Poynting for Optics, 富士通)の年間サポートライセンス費用を計上する。さらに、研究課題に関連した最近の研究成果を調査や昨年度の研究成果を発表するための国内外の学会参加費・旅費(国内学会:応用物理学会、東京5日間、京都5日間、国際学会:CLEO-PR 京都4日間、WOMA 中国4日間、CCMR 韓国3日間)を計上する予定である。
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[Presentation] Quasi-single mode random laser2013
Author(s)
Hideki Fujiwara, Ryo Niyuki, Takeshi Tsuji, Yoshie Ishikawa, Naoto Koshizaki, Keiji Sasaki
Organizer
Collaborative Conference on Materials Research (CCMR2013)
Place of Presentation
Ramada Plaza Jeju Hotel, South Korea
Year and Date
20130624-20130628
Invited
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