2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24651178
|
Research Institution | College of Heathcare Management |
Principal Investigator |
辻 正二 保健医療経営大学, 保健医療学部, 教授 (10123936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 憲 山口大学, 理工学研究科, 講師 (10422916)
岡邊 健 山口大学, 人文学部, 准教授 (40356209)
作田 誠一郎 山梨学院短期大学, その他部局等, 講師 (10448277)
|
Keywords | 社会的時間 / 時鐘 / コミュニティ・ノルム / 安心安全 / サンウンドスケープ / コミュニティモラール |
Research Abstract |
今年度は、本研究題目の課題のためにアンケート調査の実施とすると同時に認知心理学的な時鐘施設の音環境に関する仮想の実験研究をおこなった。 まず、アンケート調査は、今回の主要研究のひとつで「地域における時間意識とコミュニティの調査」という名称で調査を企画し、実施した。調査地は、当初、川越の時の鐘、彦根市の時報鐘と山口市の中心部にあるザビエル教会の塔の鐘を調査対象地にしていたが、予算の関係と川越市の時鐘が以前ほど鐘の音が聞こえないということで、代わりに千光寺「驚音楼の鐘」のある広島県尾道市と、地元では「元禄の鐘」と慣れ親しまれている時鐘施設を持つ大分県日出町の2地域を選んだ。サンプリングにあたって選挙管理委員会に協力を得て行い、計1800人(各地域600人)を抽出した。調査は、今年2月~3月に行い、467名の回収を行った。集計は3月中に行う事ができた。この調査からは、まだ表層的な分析しかできていないが、寺の鐘よりも教会の鐘の方が教会の鐘よりもカラクリ時計の時の鐘が時間の意味づけけに関して影響力を持っていることがわかった。 さらに、時を告げる音に関する仮想場面への没入感を測り参加者がどの程度情景をイメージできたかを検討した。刺激画像はヘッドマウントディスプレイ上に呈示し,イヤホンを装着させた。視覚情報である画像のみを呈示する場合の効果と,聴覚情報である音源を呈示する場合のそれぞれの効果を比較し検討するために,音源と画像の同時呈示,画像のみ呈示,音源のみ呈示の3グループに分けた。実験結果より,時鐘施設は高い没入感を与えることができ,情景に対する好意度と親近性,懐かしさの上昇が没入感の上昇を促進することが推測された。つまり時鐘施設の音環境のような,時を告げる音を活かすことにより,街などのコミュニティに対する帰属意識を高めることに応用できる可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査からの知見はこの種の調査がされてこなかっただけに今時点でも幾つかの点で興味深い知見を見いだすこととができた。列挙すると以下のようになる。 1.現在居住している住民の傾向は寺と教会の傾向は類似している。 2.過去に居住していた住民は寺の鐘の音へのノスタルジア傾向が高く、街や住民への一体感も高い。 3.カラクリ時計は、街や居合わせた人への一体感が強い。寺や鐘の音を聞いて街への一体感を感じる場所は自宅が多い。居合わせた人への一体感を感じる場所は自宅に次いで街中が多い。カラクリ時計は施設の前やその周辺が多く、時鐘施設の音を聞いてノスタルジアを感じるのは夕方が多い
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は今回アンケート調査で行った調査データを地域比較をしながら時鐘の持つ機能とコミュニティ形成、そして規範意識等の連関について詳しく分析を行いたい。 仰観景よりも俯瞰景の方が高い没入感を得られたことから,俯瞰景は仰観景よりも街全体を見ることができ,街の多くの住民との共有感が得られたため,情景に対する没入感の上昇につながったと考えられる。よって,今後の課題としては,同じ音を聴く人達との仲間意識をどの程度得られるかを検討する必要がある。具体的には,情景に映る人の数(音を共有する人の数)を操作して実験を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査の実施の予算が少なかったために、当初計画の調査予定地を変更した(川越市と彦根市を尾道市と大分県日出町に変更。変更による調査そのもの不備は生じない)。加えて、旅費の節減と調査実施の経費(印刷費とサンプリング等)を業者に依頼しなかったこと、によってここでの予算の余りが生じた。 最終年度の26年度の経費は約60万円であり、これは当初より研究補助者に20万円づつ半分し、残った金額を学会発表のために旅費、データ分析のための謝金、物品に回す予定である。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] The effects of familiarity and novelty on preference judgments: Manipulation of exposure frequency and background information2013
Author(s)
Matsuda, K., Kusumi, T., Hosomi, N., Osa, A., & Miike,
Organizer
54th Annual Meeting of the Psychonomic Society
Place of Presentation
Toronto, CAN
Year and Date
20131115-20131115
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-