2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の直接投資とローカル企業の形成:タイ自動車産業の例
Project/Area Number |
24651279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
上田 曜子 同志社大学, 経済学部, 教授 (20223472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タイの自動車産業 |
Research Abstract |
平成24年度においては、タイに出張し、タイ資本の自動車部品メーカーに対するインタビュー調査を実施した。この調査を通じて、調査対象となったタイ企業が、自動車部品生産に参入した経緯について情報を収集した。その際、タイで操業する日系自動車メーカーからどのような支援を受けたのかについても、聞き取り調査を行った。 タイを訪問した際に、現地の日本人ビジネスマンを対象にセミナーを開催し、タイの自動車産業に携わっている現場の声を収集した。現地で働く日本人からは、賃金上昇による国際競争力の低下を懸念する声が聞かれ、今後のタイ経済を考えるうえで、貴重な情報源となった。 また、ジェトロ・バンコク事務所を訪問し、日本からの直接投資の動向について、説明を受けた。2011年の洪水被害にも拘らず、とくに中小企業による日本からの直接投資が活発に行われているとのことであった。セクター別にみると、自動車産業に対する投資が多い。 また、2015年のAEC(ASEAN経済共同体)の完成を前に、タイ政府が、産業の高度化を図ろうとしているという点についても確認することができた。タイ政府は、低賃金の労働に依存するタイ企業に関しては、すでに海外移転を促す方針に転換している。海外からの直接投資に関しても、製造業全般を奨励するこれまでの政策を変え、ハイテク産業など付加価値の高い産業のみを今後、奨励するという方針を打ち出している。この政策転換の方針に対しては、現地の日本企業は批判的であるとのことであった。 以上のように、平成24年度は、タイへの出張を通じて、貴重な情報を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイにおける現地調査にて、タイ資本の部品メーカー、タイ自動車産業に携わる日本人ビジネスマン、ジェトロ・バンコク事務所から、種々の情報を得ることができ、当初の研究目的を、おおむね達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでタイで収集したデータを整理し、分析したうえで、学術論文を執筆し、内外の学術雑誌に投稿する。また研究会等にてその成果を報告する。さらに、技術移転などに関する基本文献を読み、その内容を、本研究に反映させる。 タイにおける現地調査も引き続き実施し、不足しているデータを補い、より完成度の高い研究を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使途については、物品費とタイへの出張旅費に対する支出を計画している。タイへの出張は、本研究のデータ収集にとって不可欠の出張となっている。物品費については、複合機(プリンターおよびスキャナー)の購入などを予定している。
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