2013 Fiscal Year Research-status Report
ロブリエール家文書を取り巻く世界──フランス貴族所領経営と領主文書の謎を解く
Project/Area Number |
24652150
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大月 康弘 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70223873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀越 宏一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20255194)
金尾 健美 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (20286173)
床井 啓太郎 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (20508650)
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
森村 敏己 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (40230148)
山崎 耕一 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 教授 (70134872)
|
Keywords | 古文書 / フランス / 所領経済 / 日本中世 / ビザンツ |
Research Abstract |
『ロブリエール家文書』(Archives of Laubrieres, Marquisate of, 1372-1780. Franklin MS.17.)(以下『文書』)を分析し、14世紀後半~18世紀末のフランス所領経営の実態解明に努めた。『文書』は、中世後期からアンシアン=レジーム末期までの所領管理の記録群として注目に値する。本研究は、『文書』が作成された動機と、記載内容の選択の意味、伝来の経路などを、当該社会の国家権力/公権力との関係性の中で検証しようとしている。時代状況のなかでの『文書』の社会的・政治的性格を検証して、国家権力(公権力)と『文書』との関係、『文書』が伝える記事内容の特徴を考察するとともに、わが国における同種文書の代表事例「毛利家文書」、またビザンツ帝国における所領文書との比較を通じて、『文書』の世界史的位相について解析し、国内外に情報発信することをめざしている。 平成25年度は、研究チーム内での史料データの共有のために(および公開を念頭において)『文書』の画像データ化の作業を分担して推進した。本格的分析作業は今後を期するが、『文書』の外形的分析、解読作業に要請された限りで、記事内容に関する類型化を行った。その結果、記事を解析し、内容の類型化、数量化に向けて本格的分析を行うための基礎がかなりの程度でかたち作られたと思料する。 『文書』外形面のデータはほぼ悉皆的に整理し終え、本文書の存在を国内外に情報発信する準備が整ったので、平成26年度には一橋大学社会科学古典資料センターのウェブサイトにおいて公開予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『ロブリエール家文書』(以下『文書』)は、それ自体膨大である。その外形的情報が悉皆的に調査され、テクスト内容面でも、系統的に分析するための指標が立てられたのは、今後の本格的分析にとっての大きな成果である。テクストの画像データ化は、簡単な作業ではなかった。古文書がもつマテリアルとしての貴重性、重要性を損なうことなく、世界に発信できる段階に至ったのは、大きな進捗だった。 今後は、『文書』が作成された現地での調査等を行い、新たに確認すべき事項について、現地の文書館などで事実確認を行わなければならない。本科学研究費での財源の制約もあり、このステップがなお行いえなかったことは残念だったが、2ヶ年目でもあったので、作業の遅延とは考えていない。 今後は、現地情報との総合によって、『文書』の歴史個性的把握を行うことをめざすこととし、可能な限り『文書』の伝来経路についての調査も行いたい。『文書』がなぜフランスからアメリカに渡ったのか。他の同種の事例の存否を含めて調査し、本件事例の伝来の謎にも迫りたいと願っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、『文書』が作成された現地での調査等を行い、新たに確認すべき事項について、現地の文書館などで事実確認を行うことを予定している。ただし、本科学研究費での財政上の制約もあり、このステップが研究代表者および研究分担者を総動員して行えそうにないので、可能な限り、他財源を模索しながら、今後の発展を期している。 ともあれ、今後は、現地情報との総合によって、『文書』の歴史個性的把握を行うことをめざし、可能な限り『文書』の伝来経路についての調査も行うこととする。『文書』がなぜフランスからアメリカに渡ったのか。他の同種の事例の存否を含めて調査し、本件事例の伝来の謎にも迫りたいと願っている。
|
Research Products
(8 results)