2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24652160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シッキム / ミャンマー / リンブー / ライ / ナットウ |
Research Abstract |
今年度、ミャンマー調査を行う予定であったが、ミャンマー情勢の関係ですぐに調査ができなかった。したがって、現地のコンサルタント(サネイインターナショナル 西垣氏)と来年度以降の調査についての打ち合わせを2012年8月にヤンゴンで実施した。ミャンマー調査に代わって、今年度はインド・シッキムを調査することにし、2012年9月にインド・シッキム州を訪問した。シッキム州では、市場とナットウ(キネマ)を製造している村を訪問して詳細な調査を実施した。なお、現地調査は、シッキム大学のJyoti Prakash Tamang 教授にアレンジをしていただき、実際のフィールド調査は、シッキム大学の博士課程の大学院生と共に行った。訪問した村は、リンブー族の村とライ族の村である。リンブー族の村では、発酵の際にシダを用いており、粒状の粘りの強いキネマを製造していた。乾燥キネマも製造しており、生産したキネマは、すべて市場で販売する。キネマは、ターメリック、ガーリック、チリなどのスパイスと野菜を絡めて、それをコメと一緒に食べる。一方、ライ族の村では、自家消費用としてキネマをつくっている家を訪れて、製造現場を観察した。この村では自家生産の大豆を用いており、発酵にはイチジク属(Ficus hookeriana)の葉を用いていた。粒でそのまま発酵させるのではなく、たたいて豆を割ってから発酵させていた。そのほうが、早く発酵するという。この村では、イチジク属以外に食用カンナ(Canna edulis)の葉も発酵に用いていることを確認した。これまで、食用カンナを用いている事例は無かったため新たな発見である。 さらに今年度は国内で大豆発酵食品を研究している「独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品安全研究領域」において、世界のナットウについての情報交換を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミャンマーにおいて、ナットウを生産している北部地域およびバングラデシュとの国境地域に行くには、準備が必要なため、今年度は断念せざるを得なかった。しかし、準備のため実際にミャンマーを訪問し、現地のコンサルタント打ち合わせを実施し、来年度以降の調査の目処がたったことは収穫であった。また、ミャンマー調査ができなかったので、平成25年度に実施する予定であったインド・シッキム州調査を前倒しで実施した。現地のシッキム大学と良好な関係を継続させてきたので、このような急な変更も可能となった。 調査地の変更はあったものの、期待される成果も得られており、順調に研究が進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、インド・シッキム州におけるキネマの調査を実施することができ、東南アジアのナットウ(タイのトゥアナオ、ミャンマーのペボゥ)と比較することが可能となった。延期になっているミャンマー調査を今年度実施するように努力し、またヒマラヤ地域のナットウの調査をもう数カ所実施したい。ナットウの起源と伝播を考察するには、多様なナットウが存在するヒマラヤ地域と東南アジアとの共通性および違いを十分に検討する必要を感じている。よって、今年度はインド・アルナーチャルプラデーシュ州を調査することも検討したい。 また、日本のナットウについても他の研究者と製造企業への聞き取りなどを実施したい。さらに、データベースのソフトウェアを購入したので、今後は、これまで調査を行ったナットウのデータベース構築も併せて行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に海外調査旅費として使用する。インド・アルナーチャルプラデーシュ州とミャンマーへの調査を計画しており、両地域ともに公共の交通機関で移動することができないため、車の借り上げが必要となる。また、通訳・ガイドの雇用も必要となるため、2地域での調査で、研究費を使い切ることになると考えている。
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Research Products
(12 results)