2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24652160
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナットウ / 東ネパール / シャン / ライ族 / リンブー族 / シャン族 / パオー族 / ナットウの起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーラシア大陸でナットウが生産されている最西端とされるネパール東部および東南アジアのナットウ生産の中心地と考えられるミャンマー・シャン州タウンジー周辺の調査を実施した。 東ネパールでは、コシ県イタハリ周辺のライ族、ダラン周辺のリンブー族とライ族の村落においてナットウの調査を行い、そのうちライ族は段ボールと新聞紙を用い、極めて簡易的な方法でナットウを生産していることが明らかになった。また古くからナットウをつくっていたリンブーやライなどの民族以外にインド・アーリア系の民族にもナットウが伝播していることを確認した。東ネパールのナットウは、インド・シッキムと同じく乾燥させた「干しナットウ状」で、カレーに入れて食べる。 ミャンマー・シャン州では、パオー族とシャン族がナットウをつくっていた。どちらの民族ともに、平たく乾燥した形状のナットウをつくるが、パオー族は500円玉大の小さな碁石状でシャン族はセンベイ状である。糸の引くナットウをつくる生産者もいて、シダや稲ワラを菌の供給源としていた。タイでみられたひき割り状ナットウが、ミャンマーではまったく見られないということがわかった。ミャンマーでも粒状納豆をミンチ機で挽いたり、臼で潰したりするのだが、その状態で完成品とはならずに、挽いたり潰したりした場合、かならず乾燥センベイ状に加工する。 これまでの調査結果を踏まえて、最終年度となる本年度は、日本を含め、これまで論じられてきたナットウの起源を批判的に検討した上で、東南アジア大陸部とヒマラヤのナットウをつくる際の菌の供給源となる植物の利用形態から「ナットウの発展段階論」の仮説を提示した。さらに、ナットウの形状に着目して地域分類を行った。そして、それらを総合的に考察した上で東南アジア大陸部とヒマラヤの4地域で独自にナットウが発祥したとする仮説を打ち出した。
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Research Products
(8 results)