2014 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性基本法に基づく新たな地域資源管理―「環境法化」と地域戦略のシナジー
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24653024
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
及川 敬貴 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (90341057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北見 宏介 名城大学, 法学部, 准教授 (10455595)
神山 智美 富山大学, 経済学部, 准教授 (00611617)
内藤 悟 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10592347)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物多様性基本法 / グリーン化 / 生物多様性地域戦略 / 自然保護法の進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、「環境法化」と生物多様性地域戦略(以下、地域戦略)に関する諸判例を研究メンバー全員で検討する機会を設け、そこで共有した知見を踏まえて、各自が業績を公刊した。
研究期間全体を通じての成果は、次の4つに整理できる。 (1)環境法化した開発法のいくつかについて、運用の実際を明らかにした。具体的には、訴訟での使われ方(例:改正河川法の環境規定に基づく原告適格論)や政策上のイノベーション(例:条例による「下からの環境法化」)を捉えることができた。これらの知見は、開発法が環境法化しているだけではなく、法政策の様々な状況で実際に「使われ始めた」ことの証左となった。 (2)生物多様性地域戦略と、環境法化した開発法の「つながり」を確保するという立法政策論を提示することができた。具体的には、「地域規範の重層化」という概念の下で、地域戦略と、法律実施条例とを組み合わせて、新たな原告適格論を展開する等の制度発展の方向を示したものである。 (3)開発法が環境法化する一方で、従来のいわゆる自然保護法が進化を遂げている状況を捉えることができた。生物多様性が法的な価値として認められるにつれて、自然保護法が進化していくという考え方は既に示されていたが、本研究グループでは、構造・実態分析をさらに進め、例えば、鳥獣保護法の最近の改正について、進化とは評し難い側面がある等の指摘を行ったものである。 (4)最大の成果として、生物多様性基本法の法政策論的な意義を、従来よりも明確に示しえたことである。具体的には、上記の第1~3の成果を、同法3条の「基本原則」の適用成果として整理できた。これによって、生物多様性基本法法が「わが国環境法のパラダイム転換」を促すカギとなる可能性が、現実的な法政策論へと展開しうることになる。今後は、基本原則の適用事例をフォローアップし、「パラダイム転換」の実相を捉えることが課題となる。
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Research Products
(12 results)