2012 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブレット解析および非線形結合振動子系モデルによる景気循環の同期現象の解明
Project/Area Number |
24653050
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
小野崎 保 立正大学, 経済学部, 教授 (10233595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊木 吉隆 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20433740)
石山 健一 国士舘大学, 政経学部, 講師 (30610133)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / 景気循環 / 同期現象 / ウェーブレット / 非線形振動子 |
Research Abstract |
わが国の地域景気循環に関するさまざまな指標を収集・精査した結果,データの量および質の観点から,都道府県別鉱工業生産指数の月次データを分析に用いることとした。データ期間は1977年1月から2011年12月までで,基準年は2005年である。 このデータを用いて,ウェーブレット変換を用いたデータ解析に着手するための予備的研究をおこなった。まず,景気循環の同期の程度を測る指標としてディスタンスという概念を用いることが出来るかどうかの検討をおこなった。検討の結果,ディスタンスは無次元の情報を1次元の情報に潰しており,十分同期している時系列同士を抜き出す目的には使えそうであるとの結論を得た。ただし,十分同期していない場合には,ウェーブレット・コヒーレンシーを援用する必要がありそうである。 さらに,鉱工業生産指数には原系列と季節調整済系列とがあるが,景気循環の動機を分析するためにこれらのいずれを用いるべきかに関する知見はこれまで存在しない。これについてディスタンスを用いて検討した結果,(1)原系列と季節調整済系列とではディスタンスの大小関係がかなり異なること,(2)コヒーレンシーを見ると,季節調整によって低い周波数成分の同期の程度の差が判定しにくくなること,が明らかになった。以上より,季節調整は時系列間の同期を調べる際には不適切なデータの前処理であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者(齊木吉隆)の所属機関変更などによりデータ解析に少し遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析のための予備的研究がほぼ終わったので,本格的なデータ解析を実施し,景気循環の同期に関する統計的事実の発見・蓄積に務める。同時に,発見された統計的事実を説明するために,既存の理論モデルの改良に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果発表のための旅費などに使用する予定である。
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