2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24653088
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 大志 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (60420478)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 企業財務 / 組織行動学 / エージェント / 行動経済学 / 経営学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実証分析およびエージェントベースモデルおよびを通じ,企業価値および企業の組織構造について分析する.平成26年度においては,分析の実施およびこれまでのとりまとめを行った. 本年度においては,企業組織において主要な役割を果たす経営者の意思決定に関する分析および企業組織を構成する従業員の主要な関心事の一つである退職給付制度について分析を行った.行動経済学において,人間の意思決定は総じて自信過剰の傾向があり,そのようなバイアスを経営者が持つことにより企業行動に影響を与えるとの議論が行われている.このような議論を背景として,本研究では,退職給付制度を対象とし,アンケート調査による回答を元に将来株価水準ならびに将来金利水準に対するバイアスの測定を行った.分析の結果,将来株価水準ならびに将来金利水準に対して,変動幅を小さく見積もっている傾向があり,自信過剰バイアスを確認することができた.退職給付制度に関しては,企業は自らが採用する人的資本政策や重視するステークホルダーとの整合性が高い退職給付制度の設計がなされている一方で,組織管理体制強化の余地があることなどの課題があることを見出している.本分析結果の一部は,SICE社会システム部会,行動経済学会等にて発表し,分析に関し有意義なコメントを得た.なお発表におけるフィードバックなどを基にした追加分析の実施,および論文完成度の向上を実施しており,今後,ジャーナルへの投稿を予定している. 更に,エージェントベースモデルを通じた自信過剰バイアスに関する分析を実施しており,ステークホルダーの意思決定と株主価値の関連性についても分析を実施している.また,ビジネスゲームを通じた現実の人間を対象とした分析についても,取り組んでおり,金融のリスクマネジメントに焦点を当てたビジネスゲームを構築,分析結果について取りまとめを行っている
|