2014 Fiscal Year Research-status Report
司法通訳人の負担軽減のための学際的研究 -就労環境整備と日本語運用技術の改善ー
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24653121
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
水野 かほる 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (90262922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
森 直香 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (60611829)
坂巻 静佳 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (10571028)
津田 守 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 教授 (50163811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法廷通訳 / 司法通訳 / 法廷通訳人 / 裁判員裁判 |
Outline of Annual Research Achievements |
裁判員裁判の導入(2009年5月)から6年が経過した現在、日本語を解しない外国人が関わる事件が増え、多くの法廷通訳人が選任されている状況があるにも関わらず、法廷通訳人の経験と声についての調査研究が行われてこなかった状況がある。本研究では、このような状況に対して、これまでに法廷通訳経験者に対する数量調査をもとに、その実態について報告書にまとめ公開した。また、通訳実験から適切な通訳を可能にするための言語上の留意点について考察を行った。 平成26年度は、これまでに実施した量的調査、インタビュー調査、検証実験等を踏まえ、継続して法廷通訳にとって適切な日本語運用技術の解明等を進める研究を実施した。そして、これまでの研究成果をまとめ、図書として出版するための作業を進め、平成27年度科学研究費助成事業研究成果公開促進費の申請を行った。本書の内容は次のようになっている:1)法廷通訳と法廷通訳人についての実情及び最高裁判所公表の資料を基に言語別の通訳の状況を説明。2)法廷通訳人を対象とした数量調査と聞き取り調査から、法廷通訳人の実態と言語能力・心理状態・制度運用等の諸問題について指摘した。3)法廷通訳における言語上の課題について。4)国際法の視点と欧米の事例から法廷通訳について考察する。 成果公開に向けての具体的な準備作業としては、2度の研究会を実施し、研究の進行状況の確認と研究成果報告としての図書の刊行に向けての打ち合わせ・検討会を実施した。また、日本語運用技術の改善に向けての実証研究を進めている水野は、その成果を「日本通訳翻訳学会 第15回大会」で報告し、その後もさらなる実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、本研究グループが法廷通訳経験者を対象に実施した数量調査結果のまとめと各自の研究成果を総括して公開するのに向けての作業を行った。本研究は、様々な専門分野の研究者が参加しており、多様な手法や問題領域を対象とする広範なアプローチでの研究成果をまとめている。メンバー全員の多大な努力により、研究成果公開に向けての準備は順調に進んでいると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
当面の目標であった研究成果の公開については、平成27年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)の交付が内定し、今年度の図書の出版に向けて、最終的な作業を行っている。 個別の研究では、法廷における適切な日本語運用技術の改善を目指した通訳実験において、成果報告に入れられなかった検証実験を引き続き実施する予定である。 また、研究成果公開後には、本研究の総括を行い、本研究テーマに関しての成果と残された課題を明らかにしてさらなる研究に向けての準備を行う。
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Causes of Carryover |
平成24年度に実施した量的調査の結果を踏まえてインタビュー調査や訳しやすい日本語の実証実験を進めてきたが、予定していた言語・人数の参加者・協力者を集めることが難しかったこと、また、これまでの成果をまとめる予定であったが、さらなる調査により改善できる部分が見受けられたため、平成26年度での公表を見送ったことから、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、さらなる実証実験その他の調査と、シンポジウム等での成果発表のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)