2012 Fiscal Year Research-status Report
重度・重複障害児の行動観察における教師のアイ・トラッキングに関する基礎的研究
Project/Area Number |
24653176
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
任 龍在 筑波大学, 人間系, 特任助教 (10614604)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 甲介 筑波大学, 人間系, 特任助教 (10610248)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 重度・重複障害 / 実態把握 / 行動観察 / アイ・トラッキング / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度は、特別支援教育に携わる教師の専門性と教師教育に関する論議(特に,子どもの理解)と、重度・重複障害児の理解をするにあたって有効な手段である「行動観察」の視点及び方略を明らかにするアプローチとしてアイ・トラッキングの可能性と限界について検討した。 1.日韓における特殊教育教師の専門性と教師教育に関する論議 日本特殊教育学会第50回大会自主シンポジウムにおいて、日韓における特殊教育教師の専門性とは何か、またその専門性を身に付けるために大学での教員養成はどのような教育課程を設けているのかについて論議した。その結果、両国とも「実践的指導力」の重要性を強調しており、その中核には「行動観察」があることに意見が一致した。行動観察力を高める方法として教育工学と臨床教育についても協議した。 2.アイ・トラッキングの可能性と限界 行動観察上の視点及び方略の特徴を明らかにするにあたって、アイ・トラッキングが客観的な指標の1つとして採用できるかどうか、その可能性について検討した。臨床教育を受けてきた大学院生10名を対象として、実験と面接調査を行った。まず、肢体不自由に知的障害を併せ有する重複障害児の刺激映像(10分,10場面)を提示して、対象者が自由に実態把握を行うようにした。次に、実態把握のため特に重要であると判断した1つの場面を選んでもらい、その場面に対するアイ・トラッキングを計測した。最後に、なぜその場面を選んだか、つまりその場面のどのような部分に注目していたのかについて、面接調査を実施した。分析は、アイ・トラッキングのデータと面接調査記録の関連を検討することによって、行動観察上の視点の変化に対象者の考えや思いがどのように反映されているかを明らかにした。現段階で断言することまではできないが、行動観察上の視点及び方略を検討する際に、アイ・トラッキングは有効な手段であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイ・トラッキング装置に問題が発生したため、本研究の準備期間が予想よりも長くなってしまった。現在、対象者10名の全データを分析することはできなかったが、平成25年4月下旬までには分析を終える予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
アイ・トラッキング装置の問題が解決されたため、平成25年度には、教師を対象とした実験と面接調査は、順調に推進していくことができると考えられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額59,016円は、平成24年度に行った実験と面接のデータ分析のため人件費として執行する予定である。平成25年度の研究費については、本来の研究計画に沿って執行する予定である。
|