2013 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の行動観察における教師のアイ・トラッキングに関する基礎的研究
Project/Area Number |
24653176
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
任 龍在 筑波大学, 人間系, 特任助教 (10614604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 甲介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10610248)
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Keywords | 重複障害 / 実態把握 / 行動観察 / アイ・トラッキング / 特別支援教育 / 専門性 / 国際情報交換 / 韓国 |
Research Abstract |
平成25年度は、特別支援教育に携わる教師の専門性と教師教育に関する論議(特に,カリキュラム)と、重複障害児の行動観察上の視点及び方略に関して臨床学生(臨床教育を受けている大学院生)と現職教員との比較検討を行った。 1.特別支援教育に携わる教師の専門性と教師教育に関する論議 平成24年度に引き続き、日本特殊教育学会第51回大会自主シンポジウムにおいては、日韓における特殊教育教師の教員養成カリキュラムについて論議した。その結果、両国とも「実践的指導力」を十分に高めるカリキュラムとはいえない状況が指摘され、今後の課題としては、臨床教育及び現場実習の充実、教員養成のカリキュラム自体の改善などが挙げられた。 2.臨床学生と現職教員との比較検討 最重度の重複障害児(大島分類「1」)の場合は、子どもの動きが少なく反応も乏しいため、映像による行動観察に限界があることが検証された。そのため、本研究では最重度でなく、肢体不自由に知的障害を併せ有する重複障害児の映像をもとに、臨床学生(平成24年度実施済み)と現職教員との比較検討を実施した。その結果、臨床学生も現職教員も教育経験「2年以下」群よりも経験「5年以上」群のほうが注視点の動きが狭い範囲に集中しており、頭部や骨盤などの特定の部位を継続的に注視しながら子どもの全身を見る傾向が強いことが確認された。行動観察シートに記入した内容については、経験「5年以上」群では臨床学生も現職教員も適切に実態把握を行っており、大きな差は見られなかった。ただし、行動観察に基づいた指導目標については、若干の差が見られた。研究成果については、学会発表や論文投稿を予定しており、平成26年度に積極的に行う予定である。今後は、ベテラン教員の行動観察上の特徴をまとめ、教員養成や現職教育に用いる行動観察マニュアルを作成し、その有効性を検証したい。
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