2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性抑うつの軽減・再発予防に向けた心理療法の統合と自伝的記憶の想起・変容の研究
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24653200
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
杉山 崇 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (40350821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 美佳 山梨大学, 学内共同利用施設等, 講師 (30402019)
丹藤 克也 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30455612)
大島 郁葉 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40625472)
三上 謙一 北海道教育大学, 保健管理センター, 准教授 (90410399)
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Keywords | 慢性抑うつ / 自伝的記憶 / 過度な概括化 / 心理療法の統合 |
Research Abstract |
文献研究においては、心理療法における記憶心理学の概念と心理療法における記憶の概念のブリッジに当たる成果をいくつか得ることができた。その中で本研究のテーマである「自伝的記憶の過度な概括化」には深い心理学的背景がある可能性が示唆され、一層の文献研究が必要であることが明らかになった。また、短期記憶-ワーキングメモリ-意識-無意識-情動という一連の心的メカニズムへのさまさまな観点を認知神経科学の成果も含めて整理統合することで、新しい心理学的メカニズムのモデルを提案できる可能性が示唆された。しかしながら、当該テーマに関する記憶心理学、心理療法、認知神経科学ともに膨大な文献がある一方で、それぞれに分野としての整理統合が十分になされていなかった可能性が新たにわかり、本研究にあたって新たにそれぞれを整理統合する作業が必要であることがわかった。そのため、この作業を、国内外の学術集会や学術研究誌においてその成果を公表しながら進めてきた。 調査研究は実施と成果公表ともに行い、公表準備中の成果もある。ただし、文献研究における成果を吸収した調査とするために、次の調査研究の計画を一部見直して実施の準備を進めている。尺度作成に当たっては、統計的な処理による予備的な尺度案を作成してその成果を公表した。すでに一定の信頼性は示唆されているが、妥当性をさらに高めるために、理論的背景と項目を十分に吟味する作業が必要であり、その作業を実施中である。この尺度は次の実験にも活用する予定である。 実験研究は、ツールとなる尺度完成後に実施する予定であるが、分担研究者が予備的に行った研究の結果を受けて(結果は2013年度公表済み)、一部見直しが必要であることがわかった。一連の作業終了後に実施する予定である。 臨床的研究は順調に進んでおり、公表には慎重を期する必要はあるが、倫理的な配慮を行いながらその準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね進展しているものの、計画以上に進展した部分とやや滞っている部分がある。計画以上に進展した部分は文献研究と研究成果の公表に関する部分である。文献研究では予想以上の成果が出るとともに、予想以上に文献的な研究課題があることがわかった。そこで、結果的に文献研究を手厚くせざるを得なくなった。また、国内外の学術集会における成果の好評は計画以上のものとなった。研究論文としての成果公表も行っているが、成果の一部を書籍として発行することにもなっている。 調査研究は概ね計画通りに進行しており、一部成果の公表も実施した。今年度公表準備中の成果もあり、また次の調査研究の準備中である。 実験研究では予備的に行った一部の実験で期待通りの結果が出なかったことで、次の実験の仮説や手続きを見直すことになった。そのため、実験の施行が滞っているが、準備は進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
文献的な研究課題がさらに見つかったため、文献研究は手厚くせざるを得ないと言えるだろう。研究資源の関係で、当初の予定よりも文献研究の比率が高まりつつあるが、予定していた調査や実験も文献研究の成果を反映して改定しながら実施していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果公表と情報収集のための国内外の移動が比較的近場であったため、旅費が予想より下回った。また、文献研究の成果により実験計画を見直すことになり、実験の実施時期が伸びたため物品費と謝金を繰り越す形になった。 実験を実施することで被験者への謝金が発生するため、2014年度は繰越分を活用する予定である。さらに文献研究が必要になったため、情報収集の国内外の移動も必要になると予想されるので、この計画にも活用する予定である。
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Research Products
(12 results)