2014 Fiscal Year Annual Research Report
慢性抑うつの軽減・再発予防に向けた心理療法の統合と自伝的記憶の想起・変容の研究
Project/Area Number |
24653200
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
杉山 崇 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (40350821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 美佳 山梨大学, 総合研究部, 講師 (30402019)
丹藤 克也 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30455612)
大島 郁葉 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40625472) [Withdrawn]
三上 謙一 北海道教育大学, 保健管理センター, 准教授 (90410399)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性抑うつ / 自伝的記憶 / 過度な概括化 / 心理療法の統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献研究においては心理療法における記憶心理学の概念と心理療法における記憶の概念のインターフェースを促す成果をいくつか得ることができた。その中で「自伝的記憶の過度な概括化」をもたらすメカニズムはこれまでの研究の文脈で考えられていたよりも複雑であることが示唆され,また心理学の枠を超えて認知科学,認知神経科学で検討されてきた研究テーマとも関連が深いことがわかり,一層の文献研究が必要になった。具体的には,ワーキングメモリ-意識-無意識-情動の一連の心的メカニズムへの機能と構造に関する各領域の研究成果をつなぎ合わせることで,自伝的記憶の過度な概括化を含む記憶の障害,それに伴う,または引き起こす感情の障害を説明する理論モデルの提案を目指した。結果的に,うつ病だけでなく不安障害やパーソナリティ障害まで説明し,悪性化と軽減に関する示唆を提供できる理論モデルの構成に至った。この理論モデルを次の研究課題として,科学研究費による助成を申請するに至り採択された。 当該理論モデルに基づいた事例研究は順調に進んでおり,一部は査読付き国内誌に公表した。海外への公表も準備中である。 実験研究・調査研究で活用する測定ツールの作成は順調に進み,対話における対人関係を評価するツールと気質を反映すると考えられる個性を評価するツールの作成が進んでいる。前者は公表済みで後者は公表準備中である。 実験研究・調査研究は当研究の企画当時によく行われていた方法論(日誌法)の活用を予定していたが,その後,経験サンプリングという方法も有効である可能性がわかり,研究の趣旨や目的はほぼ変えずに方法のみ変更し,実施した。ただし,国内であまり例のない方法であったため参考にできる研究が少なく,データの整理や解析は現在進行形である。この1,2年以内の成果の公表を目指している。
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