2012 Fiscal Year Research-status Report
被虐待児童の児童養護施設等での処遇改善に関する調査研究
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24653204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
桑原 義登 相愛大学, 人文学部, 教授 (10353096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則定 百合子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10543837)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 児童虐待調査 / 児童養護施設 / 被虐待児童の心理 |
Research Abstract |
和歌山県庁、和歌山県内児童相談所及び主な市町村を訪問して、本調査の趣旨説明をして今後の協力依頼を行う。市町村では要保護児童地域対策協議会の現状を調査するとともに、児童相談所では児童虐待相談の処遇の概要や処遇のシステムについての把握を行った。 平成23年度中に児童相談所が児童養護施設措置及び里親委託を行った被虐待児童についての個別調査票を作成して実態調査を行った。基礎的情報として市町村名・年齢区分・家族構成・入所施設名・入所措置の状況・関係機関との連携、虐待の状況として重複を含む虐待種別・主な虐待者・相談経路・虐待理由・兄弟との関係、及び被虐待児の状況として身体的特性・能力的特性・性格情緒的特性についての調査を行った。(対象児童68件) 平成25年度に向けての準備として、和歌山県内のすべての児童養護施設等を訪問して調査協力依頼を行い、本調査への同意書をいただいた。また、和歌山県養護施設協議会会長及び研究調査部会に働きかけて共同研究のような形での本調査への協力体制の整備を図った。 和歌山子どもの虐待防止協会の運営会議で本調査研究の趣旨を説明して調査内容についての意見をいただく。特に弁護士から人権面への配慮についての助言を得た。日本子どもの虐待防止学会等の学会に参加して児童虐待の処遇に関する情報の収集と研究者間の交流を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和歌山県庁、市町村、児童相談所等の行政機関を訪問して本調査要綱により説明を行い、本調査への理解と支援体制が得られた。このことにより、児童養護施設等の調査が進めやすくなった。調査終了後、児童相談所、市町村及び施設が協働して行う事例検討等ができる基盤づくりにもなったと考える。 和歌山県庁から各市町村の要保護児童地域対策協議会の実態調査の結果を頂き、統計データとしての処理を行い、今後の分析に備えている。 児童養護施設等の施設長会議で本調査の要項を作成して説明を行い、おおむねの理解をいただいた後、各施設を訪問して再度各施設の質問やニーズに応えることにした。その結果、対象とする全施設から施設長としての同意書をいただくことができた。また、和歌山県児童養護施設協議会会長と何回か打ち合わせを行い、和歌山県児童養護施設協議会と共同研究のような体制が整備できた。調査にあたっての人権面等への配慮の了解をいただくことができた。 平成23年度中に和歌山県の児童相談所が行った被虐待児童の施設入所及び里親委託を行ったケースの実態調査を行った。調査の回収が年度末にかかり、児童相談所の都合で翌年度にずれ込んだことが課題であるがほぼ予定通り進捗している。 和歌山県庁、市町村、児童相談所等の行政機関の理解と支援体制が得られ、施設においても共同研究のような体制が構築できた。 児童相談所の施設入所ケースの調査の回収が年度末にかかり、児童相談所の都合で翌年度にずれ込んだことが課題であるがほぼ予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に児童相談所が行った被虐待児童の児童養護施設入所措置及び里親委託ケースの実態調査結果を整理して、和歌山県における児童虐待処遇の現状と課題についての分析を行うとともに、和歌山県下の被虐待児童が入所している児童養護施設等に在籍する児童を対象とした下記の心理テストや実態調査等を実施して施設での生活実態や処遇課題を分析する。 (1)心理的居場所感に関する質問紙による調査(対象児童:施設に入所する小学生~高校生約280人を予定。) 調査内容は①心理的居場所感、②精神的健康尺度、③レジリエンス、④自尊心、⑤自 己受容等の項目を設定して調査を行う。施設入所児童の心理的居場所感と精神的健康,自己意識の関連について分析し,一般児童の調査結果との比較検討を行う。 (2)投影法によるテスト ① 子どもの父母・家族像テスト(対象児童:施設に入所する幼児約120 人を予定) 主に幼児を対象に村瀬(2001)が行った親子熊の10 枚の絵を使って「誰にほめられている?誰に叱られている?」等を問う投映法を用いる。虐待者である親との関係や指導員との愛着形成等の対象関係と問題行動との関係を調べる。また、できる限り」「動的家族画による家族関係の分析」(対象児童:施設に入所する小学生以上約280人)や「バウムテスト」や「自由想画」による人格特性の分析(対象児童:施設に入所する小学生以上約280 人を予定。)等も行っていきたい。 (3)施設退所後のフォロー調査 過去5年間における退所児童の社会適応状況等(精神を含む健康状態、家族等との同居関係、就労状況、経済状況、悩みの状況、施設や親に期待したかったことや感謝したことなどの質問項目を作成する)の調査を行い、処遇の改善策を分析する。平行して処遇困難児童のアセスメントのための個別心理検査等を実施して、臨床心理的支援を行って行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
施設入所児童の調査に必要な心理テスト器具(WISC4知能診断検査、ロールシャッハテストなど)、心理検査用紙、検査に必要な用具(色鉛筆、4B鉛筆、画用紙)、関係図書、文房具、プリンター替えインク等の物件費415,693円 施設職員と行う調査の打合会、各施設への訪問調査・個別児童の相談、具体的な事例についての市町村・児童相談所訪問調整及び日本子どもの虐待防止学会や日本心理臨床学会等での情報収集と発表等に要するの旅費400,000円 調査結果のデータ入力等の研究補助に要する謝金150,000円 その他、調査用紙の郵送等に要する通信運搬費として50,000円 合計1,000,000円(平成24年度未使用額315,693円、25年度請求額700,000円)
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