2012 Fiscal Year Research-status Report
高等学校教師のライフコース研究-北海道の郡部・離島を対象として-
Project/Area Number |
24653220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 健一郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80291582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 麻衣子 北海道大学, 留学生センター, 講師 (10545627)
浅川 和幸 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30250400)
駒川 智子 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (50466439)
梅津 徹郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60552875)
川田 学 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80403765)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライフコース / 高等学校教師 / 北海道 / へき地 |
Research Abstract |
本年度は、以下の2点において進展することができた。 (1)2010年度に北海道大学を卒業・修了したのち高等学校および中学校の教員となった方全員(38名)を対象とする聴き取りおよびアンケート調査を実施し、初任期教員が直面する困難について明らかにした。それにより、郡部・離島の小規模校に赴任した初任者は、授業に関して相談できる同一教科の教員がいない(少ない)ため、自分一人でも授業を計画、実施しなければならない状況にあることを改めて明らかにできた。しかし、北海道内外の中規模校以上の学校に勤務している場合においても11名中7名が同一校内において先輩同僚からアドバイスを受けることなく、自分一人で日常の授業準備をしていることもわかった。この結果から、授業を自分一人で計画、実施しなくてはならないのは、必ずしも郡部・離島の小規模校に赴任した初任期教員だけではなく、ひろく初任期教員一般であると考えられる。ライフコース研究からすれば初任期という入口に過ぎないが、それでも北海道の郡部・離島の高等学校教員のライフコースを明らかにすることが、決して地域限定の課題ではなく、波及性をもつものとしてとらえうるという展望を具体的にもつことができた。 (2)そのような見通しが得られた一方で、郡部・離島に所在する高等学校に勤務する教員を対象としてライフコースを主に聴き取りにより解明するという課題設定について、北海道内のいくつかの高等学校を訪問させていただいたことにより現実的な困難に直面するとともに、対象者をどのように把握するかという方法上の困難も明らかとなった。現在、教師のライフコースの代表的な研究成果の読書会をふまえた仮調査票の作成とあわせて、調査に協力していただく高等学校および地域を模索しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点において本調査に協力いただく高等学校および地域を決定できておらず、事前の文献調査等にとどまっている点で、やや遅れていると言わざるを得ない。調査校・地域の決定が来年度前半の急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した現在抱えている問題点を克服するため来年度前半に調査に協力していただける高等学校および地域を確定すべく、現地を訪問し直接依頼を行う。そのうえで、協力を得られる高等学校および地域の歴史と現状を文献調査(統計を含む)により整理し、そのような学校、地域で教育活動にあたる高等学校教師を対象として、郡部・離島での教育、生活を中心として、これまでのライフコースを聴き取りにより明らかにする。 なお、高等学校教師のライフコースにおいて郡部・離島での経歴の意味を明らかにするためには、現在そのような学校に勤務している教師への聴き取りだけでなく、当該校を転勤や定年により去った方がそのときのことをご自身のライフコースにおいてどのようなものととらえているかを聴き取ることが重要であると考えるに至った。そのため、当初予定していた複数校での聴き取り調査の計画を改め、1校に限定すると同時に現在は同校に所属していない教師からも聴き取りをするように計画を改める。 また、本年度の研究成果として、北海道の郡部・離島での調査の波及性を仮説的であれ検証すべく、来年度において他府県での高等学校教師のライフコースに関心を寄せる研究者や研究機関との研究交流を模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は調査に協力していただく高等学校1校およびその地域を、研究メンバー全員で訪ね、集中的に聴き取り調査を試行する予定であったが、そのような協力を得るには至らなかった。そのため6名分の調査旅費および宿泊費、日当にほぼ相当する金額を来年度に持ち越すこととなった。 来年度は、本年度に予定していた調査依頼および調査を実施する予定である。その際、調査させていただく高等学校の学校行事や授業など、またその地域の地域行事に許容される範囲で見学、参加させていただき、聴き取り調査の背景にある学校や地域の実態を把握するように努めるべく、当該校および地域を複数回にわたり訪問する。 また上述のように当初計画にはなかった調査対象の高等学校にかつて勤務していた教師にも聴き取り調査を依頼する予定であり、そのためにも『北海道教育関係職員録』などにより対象となる方を見出すことが必要となる。あわせて、本研究メンバーは同一大学に勤務するものにより編成されているが、他大学に所属されている研究者とも本研究課題にかかわる交流を意識的に行う。
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Research Products
(2 results)