2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24653239
|
Research Institution | Nishinippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
田代 武博 西日本工業大学, 工学部, 教授 (30294854)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 学校内神社 / 教育社会史 |
Research Abstract |
当初の計画どおり,各県の公立図書館を中心に現地調査を実施した。調査県は鹿児島(2回),熊本,岡山,鳥取,京都,埼玉,千葉である。山口については,別件のついでに図書館で調査した(助成金は使わず)。計画書段階と比べて対象県が異なったが,これは計画書提出から調査出立までの間に他の研究者(研究会仲間)との情報交換によって史料の存否状況がわかったり,インターネット検索を通じて新たな例が浮上したりする中で,有効な史料の存在が確実視される県を優先したためである。なお,計画では,「調査の結果如何によっては」行政文書などにあたるとしていたが,それら行政文書や私文書(ただし雑誌に収載されたもの)までも少しだが収集でき,学会発表に至るだけの目途が立った。以上,調査先はやや変更したが,概ね目論見どおりに史料が探知収集された。 また,直接には本助成金を使用せずに同時進行で進めていた日常の調査の過程で『神社協会雑誌』に掲載されている学校内神祠の所在状況調査表(内務省)を知り,これを複写した。今後の調査の手がかりになると期待される。ただし,私が存在を把握しているもので,この調査には挙がっていない例もある。 研究会は一度対面式で実施したいと考えていたが,互いに多忙のため電話やメールでの意見交換となった。 ホームページについては,業者を選定し,目下,話を進めている。「立ち上げてから漸次加筆するのでなく,先に一つカチッとまとまっていたほうがいい」という話をうかがい,25年度に,成果がある程度のかたちになってから作成に入ることとした。 なお,中間報告というかたちにはならなかったが,現時点までの調査から言える問題提起を年度末に執筆した(この報告書執筆時点では研究会誌に投稿済み。掲載していただけるとのことである。投稿先;日本教育史研究会『日本教育史往来』。掲載号は6月号の予定)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のように,中間報告というかたちで締め括らず,調査結果の一部を使用した問題提起を行うというかたちで24年度を終えたが,確実な史料を収集することが出来,計画書の「研究の目的」に記した「学校内神社の設立をめぐる学校と地域住民とのかかわり」が描き出せる見通しが立ってきた。 また,研究者仲間からの助言としては,「網羅的・悉皆的にやるよりも手堅い事例を少数でも重ねていくのがよいのではないか」という意見を複数頂戴した。それで県を絞り込みつつ調査を進めた結果,学校と地域住民とのかかわりについて,事例間にまたがる一つの論旨が成立しかけている。とにかく計画段階では史料の存否がはっきりしていない事例も少なくなく,どの事例とどの事例を使って具体的に論文としてまとめていくのかについて見当がつけられていなかった。いま,見通しが立ちつつある段階に到達したことは年度計画がおおむね達成できたという安堵感をもたらしている。しかし,中間報告のかたちに示していないため,自己評価は「やや遅れている」とさせていただく。 ホームページについては,計画段階では漠然と「進んだところまで出そう」と考えていたが,まず論旨を打ち立てて発表し,論文化することが先決であるので,25年度後半にずれ込ませたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は,絞込みをかけた事例について,一次史料等をさらに探知して手元に揃えて,研究の論旨を固め,これを学会で発表する。学会は今年も秋口に開催されるため,それまでに調査を一通り終えたい。 具体的には鳥取県(根雨小学校周辺,鳥取県公文書館等),埼玉県(本町小学校・梅ノ木天神周辺,川口市立図書館等),熊本県(田迎小学校周辺,熊本県立図書館等),鹿児島県(菅牟田小学校周辺,串木野市の池之上様方,曽於市の西野様方等),京都府(洛外小学校周辺,京都府資料館,京都府立図書館等)での再調査を実施する。各事例に対して複数回の調査が必要と考えている。 発表の成果を論文のかたちにまとめて投稿し,あわせて最終報告書およびホームページの作成に入る。 なお,学会発表ではどうしても史料の豊富・確実な事例を採り上げなければならないため,上記の事例に集中した検討を進めなければならないが,最終報告書およびホームページでの紹介においては,調査結果をできるだけ幅広く提示し,本研究がもつ先駆的・萌芽的意味を示すつもりでいる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず24年度に使わせていただいた額が予定額を下回ったことについては,先述のとおり,事例を調査しながら絞り込みも同時に進めたため,当初予定の調査対象県に若干の変化が生じ,当初計画で示した北海道や茨城県には今年度中には行かなかったことと,複数の県を一回の旅程でまわったことなどから,当初の計画の額に至らなかったものである。なお,この点について,通常の業務に時間をとられてまとまった調査の時期が年度末にずれこむこととなったが,3月にはたくさん調査に行かせていただいたので,日常の業務の影響は最終的にはさほどなかったと認識している。 25年度は,まず,学会発表の論旨を固めるために各当該地に複数回足を運ぶ必要が生じている。その中には,交通不便なところも少なくないため,お認めいただいた予定額を,24年度には1時間ほどかけて徒歩で行ったルートや1時間以上の待ち時間を費やした部分などに旅費として充当させていただくなど,効果的・効率的に使用させていただき,成果の充実を期したい。 以上,24年度のあまりの分・25年度予定の分のお認めいただいた研究費は,(当初の計画とは行き先が若干異なるけれども)当初の計画に沿って主に旅費として使用させていただきたい。ホームページや報告書の作成に見込まれる額などは当初の計画通りで見込んでいる。
|
Research Products
(1 results)