2013 Fiscal Year Research-status Report
超低バックグラウンドX線CCDを用いたガンマ線未同定天体の研究
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24654052
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
尾崎 正伸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (90300699)
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Keywords | 撮像素子 / 荷電粒子 / 雑音除去 / モンテカルロ・シミュレーション |
Research Abstract |
前年度に試作した概念実証素子で得られた実験データについての検証を継続した。これはエネルギー1MeV程度のベータ線を除去すべき荷電粒子放射線として照射し、データ処理で実際にどの位除去できるかを確認する実験である。昨年度の結果はベータ線による痕跡の裏表両素子間の対応が極めて悪く除去は全くできないという物であった。この対応は本研究が目指す放射線バックグラウンドの高効率除去に欠かせない基本現象であるので、対応が悪い理由を明らかにして解決することは研究を完成させる為に不可欠である。素子形状と相互作用を模した放射線モンテカルロ・シミュレーションの結果、市販素子をパッケージごと背中合わせに接合した概念実証素子では、両素子の間隔が2mmと広すぎるせいで、表素子との相互作用でベータ線に生じる方向変化が裏素子への入射位置を著しくずらしてしまい、対応が取れなくなる事がわかった。また、素子冷却の為に背面に配置しているアルミニウム塊により跳ね返された放射線も無視し得ない程度に存在し、そのうちのいくらかは表素子に再入射することなく素子間の隙間から外部へ脱出してしまい対応付け作業に対する「雑音」となる事も判明した。 そこで、素子間隔を125μmまで接近させた実験的パッケージをCCD素子メーカと共同で設計した。同時にこの素子間隔でのモンテカルロ・シミュレーションも実施し、この位素子を近接させると方向変化による入射位置のずれは必然的に小さくなり、両素子間で十分に対応付けが取れるという目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モンテカルロ・シミュレーションにより、新規パッケージを製造する事で放射線除去を行う目処を付けられ、またパッケージの設計自体も完了した。しかし、パッケージの製造とそこへの素子実装作業が遅れた為、実物での実証が翌年度にずれ込んでしまった。本来の計画では年度末には実証作業を始められると見込んでいた為、「やや遅れている」となる。
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Strategy for Future Research Activity |
新規設計の実パッケージ素子に荷電粒子を当て、その除去性能を確認する。結果を査読付き論文に投稿し、成果を公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
製作および納入予定だった新パッケージに実装した撮像素子が工程の遅れにより年度内完成の見込みが立たず、この分の発注を行わなかった。これに伴い、データ取得実験に必要な消耗品や旅費の執行も行われなかった。 新パッケージ素子を購入し、データ取得実験を行う。この費用(素子および必要な消耗品代金、実験に必要な旅費)で使い切る見込みである。
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