2012 Fiscal Year Research-status Report
太陽からのhidden sector photonの探索実験
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24654059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑輪 眞 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90126178)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | hidden / photon / solar / dark / paraphoton |
Research Abstract |
Hidden photonとは、標準理論のSU(3)xSU(2)xU(1)対称性の外の「隠れた」U(1)対称性に対応するゲージボソンのことである。このような追加の対称性は、標準理論を拡張する多くの模型において出現する。 このhidden photonは通常の光子との間にkinetic mixingを持ち、hidden photonと通常の光子との間でニュートリノ振動と同様の振動が生じる。この振動現象を用い、強力なhidden photon源である太陽から飛来するhidden photonを実験室内の真空容器で光子へと変換し光検出器で捕らえる。我々は、世界で初めて太陽hidden photonの専用観測を行い、光子とhidden photonの混合パラメータに対する制限をつけた。しかし、この測定では、温度変化による光検出器のダークカウントレート変動により、大きな系統誤差が生じていた。太陽追尾時とバックグラウンド測定時のカウントレートを引き算することでhidden photonのシグナルを得るため、このダークカウントレート変動が大きな系統誤差の要因となった。 これを改良するため、シャッター、首振りという二つの手法でのバックグラウンド測定について検討を行った。シャッターは光路を遮断することにより、また首振りは検出器の方向を太陽からずらすことによって、それぞれバックグラウンド測定が可能となる。太陽追尾測定/バックグランド測定を十分短い時間で繰り返すことによって、温度変化の影響を無視することができる程度まで減らすことができる。シャッターについては、集光を行うための放物面鏡に用いられているアルミニウムが光を発していることが判明し、それが測定に影響を及ぼすことが見積もりの結果明らかになった。首振りについては予備測定の結果問題がないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
探索の感度を妨げる要因である系統誤差を減少させる方法が確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
Hidden photon探索装置の感度向上に向け、放物面鏡の巨大化および高量子効率で低ダークカウントレートの新しい光検出器の導入を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
放物面鏡の巨大化と、これに合わせ真空容器も新たに作る。またそれにともなって必要であれば、新たな経緯義の購入などを検討している。光検出器は、量子効率が高く、また冷却を行うことでダークカウントも低くなるとされている物を選定して導入する。
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