2013 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3表面束縛状態のマヨラナ粒子性検証のための新技術
Project/Area Number |
24654114
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Research Institution | 0182401 |
Principal Investigator |
池上 弘樹 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 専任研究員 (70313161)
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / 表面束縛状態 / マイクロ構造 / 毛管凝縮 / 微小SQUID / マヨラナ粒子 |
Research Abstract |
トポロジカルに非自明な超流動ヘリウム3-B相の表面には表面束縛状態が形成される。特に表面が鏡面的な場合に形成される表面束縛状態は、粒子と反粒子が等価なマヨラナ粒子的であることが理論的に予想されている。自由表面は乱れや不純物のない表面であり、鏡面的表面であると考えらるため、そこに形成される表面束縛状態はマヨラナ粒子的であると予想される。表面束縛状態がマヨラナ粒子的であることを検証する唯一の方法は、表面束縛状態のイジング的異常磁気応答を観測することである。本研究の目的は、毛細管現象と微小SQUIDを利用することにより、これまで困難であった自由表面を壊さずにかつ自由表面近傍の磁気応答を測定できる実験系を構築することである。 本年度は、昨年度に引き続きマイクロメーター領域での液体ヘリウムの毛凝縮象研究のための技術開発とその現象の詳細の解明を中心に研究を推進した。幅1~10マイクロメーターのマイクロチャネルを作製し、毛管凝縮においてチャネルエッジの形状がメニスカスに及ぼす影響を調べた。そのために、液体ヘリウム上にトラップされた電子の伝導特性を測定した。数値計算による見積によると、幅10マイクロメーター程度でメニスカスの影響が現れはじめる。電子の伝導はエッジが滑らかになるとシャープな特性を示すことがわかった。これは、滑らかなエッジによりメニスカスの屈曲が小さくなったためと考えられる。またこれと並行して、自由表面近傍の磁化を測定するための微小SQUIDデザインおよびSQUID測定回路系の構築を進めた。
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