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2012 Fiscal Year Research-status Report

量子論的弱値増幅を応用した高精度位相測定法の開発

Research Project

Project/Area Number 24654133
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionNational Astronomical Observatory of Japan

Principal Investigator

阿久津 智忠  国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (40564274)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords量子光学 / 超精密測定
Research Abstract

本研究の目的は、量子測定理論を応用した、全く新しい方式の超精密測定方法を構築することである。これまでの量子非破壊測定は、不確定性原理の壁を打ち破るための測定系が複雑化し、原理検証実験に留まることが多かった。これに対し、近年研究の進められている弱値(weak value)の増幅を応用すれば、比較的シンプルな測定系で高精度な測定が可能である。本研究では、この原理を応用した精密測定法の実用化を達成すべく、その基礎的手法を実験的に検証することを目指している。
平成24年度は本実験で必要な3要素(光源、光学系、信号取得系)のうち、主に光源の開発と、光学系の設計に重きを置いた。このうち、光源の候補としては、当初の計画で考えていたパルスレーザー光源のほか、連続波であっても空間的に高次モードを持つ光源も有望であることが分かった。必要なパルスレーザー光源については、入手可能な光学部品を組み合わせ自作することとした。これにより、市販品を購入するよりも1/10程度の大幅なコストダウンを行って、当該研究費内に収めることができている。現在、安定な発振に向けての調整を行っているところである。一方、空間的に高次モードを持つ光源については、液晶を用いた空間位相変調器を用意し、その生成を行っている。これにより、発生させるべき空間高次モードを様々に設定できるようになっている。また、光学系部分に関しても検討をすすめ、マイケルソン干渉計を元にしたシンプルなセットアップを採用することとした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

弱値増幅を用いた高感度化の方法については光源の設定次第で様々なものが考えられたため、その検討に時間をかけた。本実験で必要な3要素(光源、光学系、信号取得系)のうち、光源については、前述の方式検討の中ででてきた2種類の光源候補について、費用内で両方を構築可能であったため、どちらも試すことに挑戦した。このうち、とくにパルスレーザー光源の自作について経験が少なかったため、外部の助言を得ながら行った。パルスレーザー光源は、980nmの光源からイッテルビウム・ファイバーを用いて1umのレーザーを発生させ、モード同期を行うことでパルスを生成する設計である。空間高次モード光源については、元となるレーザーを透過型の空間位相変調器を通すことで空間的に位相を操作し、所望のモードを得る設計となっている。光学系の構成については当初のとおりシンプルなマイケルソン光学系を元にしたものを予定しており、これについてはそのまま採用することにしている。なお、当初計画では今年度中に信号取得系の設計開発も行う予定であったが、そこまでには至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度は光源と光学系の検討に時間をかけたので、平成25年度は、本実験で必要な3要素(光源、光学系、信号取得系)のうち、信号取得系の設計開発に重きをおく予定である。当初計画のとおりパルスレーザー光源の場合には、光キャリアの周波数シフト量を測定する装置を用意することに相当する。これは、光コムなどを用いてビート信号を取得することで可能になると思われる。また、光源として空間高次モードを利用する場合には、空間モードの混入具合を詳しく調べる手段が必要になってくるだろう。これには、CCDやCMOSなどを用いたビームプロファイラーによるビーム形状の直接測定方法のほか、光学素子の歪みの測定方法を応用した干渉計測方法などの手法が考えられる。これらについては、信号対雑音比ができるだけ向上するように様々なアイディアを試したい。
また、光源自体についてもさらなる高性能化を考えている。空間位相変調器は設定次第でさまざまな空間高次モードの光源を作り出すことができる反面、LCDの更新レートなどの影響で波面が乱れやすい。LCDのかわりに回折格子素子を製作することができれば、安定な波面を得られるものと思われる。平成25年度は主にこれらの2点について検討および設計開発を進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費として、次年度に行う予定の信号取得系の設計開発に必要なオシロスコープ1台分の金額を残した。これと合わせて、次年度は信号取得用光学系の開発や光源の性能向上のために、消耗品、とくに小型の光学部品類を中心に購入する。また、データ取得のための装置のほか、実験環境の向上のために、光学台を覆う風防の購入も予定している。そのほか、得られた成果発表のための旅費にあてる予定である。

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Published: 2014-07-24  

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