2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24655063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ瀬 暢之 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00232405)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザー誘起衝撃波 / 分子量測定 / ナノ粒子 / 生体高分子 |
Research Abstract |
平成24年度は主に、衝撃波によるナノメートルサイズの分子、微粒子の移動距離を精度良く測定するため、衝撃波発生のための光学系の改良および高感度CCDカメラの導入を行った。具体的には、衝撃波発生のためのレーザー波長の検討、レーザー導入光学系の検討によるレーザーのモード改良を行い、レーザー強度を衝撃波発生確率の測定から衝撃波発生のしきい値の測定を行い、タンパクの移動距離を各レーザー波長、レーザー強度等の条件で測定し装置の最適化を図った。高感度カメラの評価として、低バックグラウンド信号とバックイルミネート型CCDの高い感度によりラベル化タンパクの蛍光スポットの観測が容易になり、試料量をおよそ10分の1としても観測可能であることを確認した。質量シフト法の開発に関する実験としてタンパク質の二量体の分解により、二量体と単量体で移動距離が変化することを見出した。市販アルブミン(単量体分子量約4万3千)では、保存中の酸化的なS-S結合の生成により二量体が主な成分であるが、還元処理により移動距離がおよそ2分の1を示す単量体のみが観測された。同様な結果がいくつかのタンパクで観測された。一方、質量タグとして用いるため、種々のサイズをもつCdSeナノ粒子を合成した。さらにZnS殻をもつCdSe粒子を合成し、それらの表面に有機リンカーを導入する実験も行ったが、タンパクの結合には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を遂行するにあたり、レーザー装置の出力ジッターや光学系の調整、衝撃波発生時の液体の発泡等の不安定要素が確率論的に発生するため、これらの要素の発生確率が小さくなる実験条件を探索し、実験者の技術的な習熟度に依存する部分を排除する装置とすることにかなりの時間を要した。また、高感度CCDカメラのモデルチェンジがあったため、納品が年度末に近い時期となったことも研究の遅れをもたらした。これらの理由により、本研究で24年度に当初予定していた、試料を用いた測定実験が25年度にずれ込んで行われることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度には当初24年度に予定していたタンパク等の試料を用いた測定実験を中心に行い、質量シフト法の概念を確立する成果を上げて行くことを計画している。また、実験計画が遅れたため、試料の測定を中心にした質量シフト法の開発と高感度CCDを用いたキャラクタリゼーション法の開発の2系統の装置を組み、実験を進めることを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に計画していた装置開発について、購入予定の高感度CCDカメラを中心に対物レンズ等の光学部品も併せて購入しており、装置に関する支出はほぼ終了しているが、25年度には高輝度の発光ダイオードと導入用レンズを購入して蛍光による計測効率を上げることを計画している。25年度には試料を用いた実験を中心に研究を進めるため、タンパク等の試料、クロスリンク試薬、蛍光ラベル化剤等の購入に研究費を使用する。
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