2013 Fiscal Year Research-status Report
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24655063
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ瀬 暢之 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00232405)
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Keywords | レーザー誘起衝撃波 / 分子量測定 / 多糖類 / 分子形状 |
Research Abstract |
平成25年度は、重要な生体高分子のひとつである多糖類の分子量測定について検討を行った。分子量40-270 kDaのデキストランについて、種々のアミノ基を持つ蛍光色素を用いた還元的アミノ化反応による蛍光ラベル化を行い、8-アミノナフタレン-1,3,6-トリスルホン酸が我々の実験系における最適なラベル化試薬であることを見出した。この試薬を用いてラベル化を施したデキストランについて、内径200マイクロメーターのキャピラリー中で水溶液中でレーザーによって発生させた衝撃波を作用させると、90-230マイクロメーターの分子の移動が観測され、分子量と移動距離の間に線形の相関が見られた。同様の実験を60-210 kDaのキトサンについても行うと、試料を分散・溶解させる水溶液の液性を酸性とした場合に、デキストランでの分子量―移動距離の相関に対応した移動距離を示した。また、大きな移動距離を示すキトサンの2量体、3量体などの会合体と思われるシグナルが観測され、溶液が中性の場合には移動が観測されなかったことから、キトサンの凝集体となっていることが示唆され、糖鎖間の相互作用た。さらに、これらの移動距離の分子量依存性は、これまで得られているタンパクのものとは大きく異なり、核酸オリゴマーの場合とも異なっていた。この結果は、分子形状がタンパク、多糖類、核酸オリゴマーの順に球状からコイル、直線状となっていることに由来おり、衝撃波による分子の移動に対する分子形状の影響があることを意味しているものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中盤は、研究室の耐震移転および使用装置の故障があり、研究遂行が不能となり、研究期間の延長をすることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、アルブミン等のタンパクと他の分子量10-100 kDa程度の分子との結合体を調製し、移動距離を検討することを計画している。さらに、これまでに得られた成果をまとめて報告することを計画している。また、現在、試料導入をコラーゲンゲルを用いて行っているが、衝撃波作用前の拡散のため試料スポットが大きく、移動距離の精度が高くないが、試料スポットを小さくして移動距離の精度を上げる方法も合わせて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度中盤の研究室耐震移転のため、年度の初期より実験設備の解体・梱包を行う必要があり、研究を中断した。また、移転後の装置の復旧が装置の故障と重なり、大幅に時期が遅れたため、研究の再開時期が年度終了前となったため、試料購入等の予算の執行額が小さくなった。 平成26年度は、試料分子、ラベル化剤、溶媒、光学部品などの消耗品の購入費用として補助金を使用する。
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