2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍光性サーモセンサーを用いた生体内温度の恒常性を担う熱産生機構の解明
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24655151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清中 茂樹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90422980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サーモセンサー / TWIX / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
これまでに、蛍光性サーモセンサー(TWIX1)をHeLa細胞のミトコンドリアに発現させることで、定常状態においても温度分布が存在するという初期的な結果を得ている。そこで、ミトコンドリアにおける熱産生機構を評価するために、ミトコンドリア膜電位、ATP濃度、pH変化と熱産生の相関関係について評価した。その際には、これらの生体パラメーターを可視化できる蛍光センサーと熱産生を評価できるTWIXとを同時にHeLa細胞に発現させ、蛍光の変化から熱産生機構を評価した。その結果、ミトコンドリア温度とATP濃度に相関があることがわった。次にプロトンを透過させることでミトコンドリア膜電位を解消する脱共役剤であるCCCPを投与してTWIXで熱産生を評価したところ、ミトコンドリアからの熱産生を確認できた。一方、ミトコンドリア膜電位形成自体を阻害する脱共役剤であるロテノンを処置した後にCCCPを投与しても、熱産生は確認できなかった。以上の結果から、ミトコンドリアにおける温度分布及び熱産生には、ミトコンドリアの酸化的リン酸化が関与することが示唆された。 次に、生体の熱産生組織として知られる褐色脂肪細胞を用いて熱産生を行うことを検討した。トランスフェクションによる遺伝子導入ではTWIXは発現できなかったので、今年度は褐色脂肪細胞での遺伝子導入のためのTWIX発現アデノウィルスを作成した。各オルガネラにTWIXを発現可能なアデノウィルスの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、TWIXを用いることでHeLa細胞内における熱産生機構を明らかにすることができた。特にさまざまな生体パラメーターを可視化できるセンサーと我々が開発したTWIXとを同時に用いることで、熱産生機構をより明確に解明できた。今後は、生体内の熱産生組織と言われる細胞で熱産生が観測できるかどうかを評価する予定が、そのために必須なTWIX発現用のアデノウィルスを作成できたことも、次年度につながる成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実際の熱産生組織として知られる褐色脂肪細胞が骨格筋を用いて、熱産生機構について評価する。褐色脂肪細胞においては、内在的な刺激物質と考えられているアドレナリンを投与した際に見られる応答について評価する。骨格筋に関しては、Ca2+濃度変化による熱産生の可能性が言われているが、賛否両論である。そこで、TWIXを用いて骨格筋における熱産生の度合いを評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、TWIXの遺伝子導入、細胞の単離、細胞培養、蛍光イメージング等の実験が主になるので、それに必要なタンパク質試薬、細胞培養試薬、細胞培養用消耗品、蛍光試薬等の使用を計画している。特に、褐色脂肪細胞の単離や培養細胞から骨格筋への分化などを予定しているので、それに関わる、タンパク質試薬やプラスチック消耗品などの使用が多くなると考えている。
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Research Products
(3 results)