2013 Fiscal Year Annual Research Report
保護性皮膜志向型の成分設計指針に基づく水素脆化抑制
Project/Area Number |
24656078
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10260415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 博志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30540695)
宮崎 孝道 東北大学, 工学部, 技術職員 (20422090)
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Keywords | 水素脆化 / 環境強度 |
Research Abstract |
本研究は、鉄鋼材料の水素脆化を対象として、使用環境に応じた成分設計に基づく保護性皮膜志向型の新しい材料開発指針を探索し、酸化皮膜の保護性の観点から、耐水素脆化特性に優れた鉄鋼材料成分を提案すると共に、想定された使用環境における水素脆化抑制効果を評価することを目的としている。 平成24年度は、環境助長割れ環境に対して高い保護性が期待できる酸化物(例えば、Al2O3、Cr2O3、Fe-Crスピネル系酸化物などを想定)を対象として、文献情報の収集・精査に基づいて水素溶解度が低い酸化物種を調査した。その結果、水素透過防止に寄与する酸化物としてAl2O3またはCr2O3の水素透過防止性能が比較的高く、Al2O3は最大でCr2O3の100倍程度の水素透過防止性能を有すると判断した。よって、今後は上記2種の酸化物が安定維持される化学組成ー環境条件の範囲を検討することが重要と考えられた。 平成25年度は、電気化学水素透過試験セルを作製し、複数の異なる表面処理ならびに酸化処理を施したフェライト系ステンレス鋼SUS430を対象として水素透過試験を実施し、酸化皮膜の水素透過抑制効果を評価した。その結果、厚さナノメートル・スケールのCr系酸化皮膜が水素透過電流を大幅に減少させることが明らかとなった。さらに、同一試料において表面研磨処理条件によって形成される酸化皮膜の保護性(緻密性)が異なることが示唆された。すなわち、表面近傍の冷間加工度を適切に調節することで、耐水素脆化特性に優れた鉄鋼材料成分の範囲を拡大することが可能であると考えられた。
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