2012 Fiscal Year Research-status Report
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24656242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大木 真 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (50211785)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感覚 / 適応アルゴリズム / 評価関数 / べき乗 / 雑音除去 / 音声 / 画像 |
Research Abstract |
平成24年度は,LMP(Least Mean p-th Power)アルゴリズムを用いた音声の雑音除去に関して, 1 防音室とスピーカを用いた主観評価実験を行う 2 LMPアルゴリズムをサブバンド化し,より人間の聴覚特性に近い評価関数を用いた雑音除去を行う という二つの課題を実行する予定であった.しかし,最近,LMPアルゴリズムよりも高速に収束するRLpN (Recursive Least p-Norm)アルゴリズムが提案されたため,予定を変更してRLpNアルゴリズムによる雑音除去の研究を先行させることとした.主観評価実験については,平成25年度に行うこととし,平成24年度は小型防音室の設置のみを行った. LMPアルゴリズムによる音声の雑音除去では,アルゴリズムの収束が遅いため音声開始時に雑音が次第に減少する様子が人間に知覚できてしまう.これに対し,RLpNアルゴリズムによる音声の雑音除去を行った結果では,雑音減少の速度は予想通り高速であり,人間には知覚できなかった.ただし,LMPアルゴリズムの場合にはほとんど発生しなかったミュージカルノイズがRLpNアルゴリズムでは発生し,処理結果全体の評価としては必ずしもRLpNアルゴリズムがLMPアルゴリズムより優れているとは言えない結果であった.RLpNアルゴリズムは収束は高速であるが信号の非定常性に対する追従特性は必ずしも高くないので,それによってミュージカルノイズが発生している可能性があり,今後の検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画を変更し主観評価実験よりも適応アルゴリズムの改良を先行させたため,主観評価実験については実施が遅れている. アルゴリズムの改良については,LMPアルゴリズムとRLpNアルゴリズムの比較を行った結果,それぞれのアルゴリズムの特徴が明らかになり,今後のアルゴリズムの改良の指針が得られたと言える.特に,収束速度の向上が単純に雑音除去結果に反映しないことが分かったため,今後はLMPアルゴリズムの高速化(可変ステップサイズなど)とRLpNアルゴリズムの追従特性の改良(スライディングウィンドウなど)の両面からアルゴリズムの改良を進める必要があることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の前半は,音声の雑音除去に関して防音室を用いた主観評価実験を行う.使用するアルゴリズムとしてはLMPの他にRLpNも用いることとし,必要に応じてアルゴリズムの改良およびサブバンド化を行う. 平成25年度後半には,2次元化したLMPアルゴリズムおよびRLpNアルゴリズムを用いて画像の雑音除去の検討を行う.その際,べき乗数を動的に可変するアルゴリズムを検討すると共に主観評価実験も実施する. 平成26年度には,画像の雑音除去アルゴリズムの改良,特に可変べき乗数アルゴリズムの改良を行うと共に,映像(動画像)への拡張を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の計画実施に当たり,当初の研究計画を変更して適応アルゴリズムの開発を先行させ主観評価実験については次年度に先送りすることとした.その結果,主観評価実験に関わる費用及びその成果発表に関わる費用が使用されなかった.平成25年度の研究費使用計画は以下の通りである. 1 音声および画像の主観評価実験に使用するため,設備備品として (1)キャリブレーション機能付き液晶モニタ(EIZO・CG276,19万円),(2)ファンレスPC(Shuttle・XS 3500GS V3L,7万4千円),消耗品として(1)ソフトウェア(Mathworks・MATLAB,22万6千円),(2)スピーカ(2個,3万5千円),(3)データ保存用SSD(2個,8万円),(4)小型防音室内で使用する机・椅子等(1組,6万円)を購入する. 2 主観評価実験を行うため,(1)実験補助者雇上げ(2人×10日×5千円=10万円),(2)実験協力者への謝金(20人×2日×5千円=20万円)を支出する. 3 成果発表のため,(1)国内旅費(新潟・3日・1回・4人,20万円),(2)外国旅費(Vancouver・6日・1回・1人,25万円)を支出する.
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