2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656326
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
永野 康行 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 教授 (00410374)
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Keywords | 建築構造物 / 構造設計 / 意志決定 |
Research Abstract |
建築構造物の構造設計において、構造計画・構造解析・構造計算・断面算定など、多くのフェーズにおいて構造設計者の意志決定がなされる。この構造設計者の意志決定プロセスの分析では、構造設計者の意志決定プロセスの分析を行い、構造設計者の意志決定の方式を明らかにするため、複数の構造設計事務所に所属する構造設計者に対して構造設計時に自らが意志決定している事項に対するプロセスに対するアンケートを実施することは不可欠であると考えている。前年度、ある構造設計事務所に所属する構造設計者に対して、アンケートのための準備作業を進めた。今年度はその項目選定について検討した。 構造設計の流れは一般には次のようになる。まずは、構造計画を実施する。構造計画においては構造種別(RC造やS造等)、架構形式(ラーメン構造、ブレース構造等)の決定の他、柱や梁の設置位置、基礎形式、設計クライテリアの設定等をおこなう。次に、構造計算を実施するための設計荷重算定を行う。その後、2次部材の設計を行い、上部構造の柱・大梁等の主部材の部材設計を実施する。この部材設計のために一般には構造計算一貫プログラムが用いられることになる。上部構造の設計後、基礎の設計を実施する。計算ルートにもよるが、必要に応じて保有水平耐力の検討を実施する。構造図作成のための構造設計は上記の手順による。 特に構造計画においては、構造種別の選定や柱位置の決定といった事項は、構造設計者のみで決定することは難しく、意匠設計者とも綿密な打合せが必要であり、構造設計者の意志決定がなされる重要な部分である。逆に、設計荷重算定後は設計クライテリアを満足する部材設計は、かなりの部分において構造設計一貫プログラムにまかせてよい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は関西建築構造設計事務所協会に所属する会員をアンケート対象として、構造設計者に対して構造設計時に自らが意志決定している事項に対するプロセスのアンケートを実施する予定であったが、より効果的なアンケートとなるべく項目選定のところまでの達成度となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
構造設計者の意志決定プロセスを体系化した後、それらの事項をまとめ、実務設計者が「使える」ツールのための情報を整理する。建築構造物の構造設計結果を次のより良い設計へとフィードバックするには、画一的な最適解ではなく、望ましい設計解を設計者に提示することにより、意志決定の判断材料としてもらうことを前提として本年度の研究を推進することとする。
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