2013 Fiscal Year Annual Research Report
高密度MgB2線材の実現に向けた常圧下固相反応プロセスの検討
Project/Area Number |
24656368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 明保 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20581995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 淳一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20251366)
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Keywords | 超伝導 |
Research Abstract |
二ホウ化マグネシウム(MgB2)は液体ヘリウムを冷却に要さず、比較的高温度(~20 K)で動作可能な次世代超伝導材料である。本研究では、MgB2線材の実用化への課題の一つである超伝導相の高密度化を検討した。現在のMgB2長尺線材作製法の主流であるin-situ法は、反応時にMgが溶融・拡散するために原理的に空隙が生じ、相対密度が低いことが問題であった。 平成25年度は、常圧下、1000℃以下の熱処理による固相反応プロセスでの高密度MgB2合成法の基礎検討と線材試作を行った。 ① MgB4 in-situ法については、前年度に開発したMgB4前駆体を再現性よく作製可能なプロセスを用いて、0.5Mg+0.5MgB4→MgB2反応によりMgB2小型多結晶体を合成した。600-1000℃程度での熱処理によりMgB2が主相として得られ、従来のin-situ法を上回る相対密度が得られた。本手法により、1 m長の線材を試作したところ、超伝導相内の空隙が半減し、結合性のよい緻密な組織が得られた。これを反映して有効伝導度コネクティビティに向上が認められた。 ② 自己焼結ex-situ法については、前年度に最適化した自製原料MgB2粉末を用いて1 m長の線材を試作した。ex-situ法の特長である高い相対密度に加え、加工後の焼結により結晶粒界の結合が強化され、従来のin-situ法の2-3倍にあたる高いコネクティビティを実現した。一方で、高温での熱処理のため金属シースとMgB2超伝導コアの間に反応層の生成がみられ、反応層抑制が今後の課題であることが示唆された。 以上、シンプルかつ実用長尺線材にスケールアップ可能な手法により、MgB2線材の超伝導相緻密化の基礎開発を行い、常圧下においても固相反応による高密度化が可能であることを示した。
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