2013 Fiscal Year Annual Research Report
材料組織が示す全エネルギーとそれに基づく局所組織変化の理解
Project/Area Number |
24656407
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 純教 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10144213)
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Keywords | 熱・エネルギー材料 / 組織自由エネルギー |
Research Abstract |
耐熱鋼のマルテンサイト組織の回復や、加工された金属の再結晶などの回復では大きな不均一回復が実際のミクロ組織回復で認められている。その要因は応力や温度などの外部からのエネルギーゆらぎが考えられる。本研究では、エネルギーのゆらぎを与えたときにミクロ組織変化にどのようなミクロ組織変化にどのような影響が現れるかを実験とフェーズフィールドシミュレーションにより検討した。 実験では、加工した純ニッケルの回復・再結晶過程が温度ゆらぎの有無によってどのように変化するかを調べた。その結果、温度ゆらぎを与えた場合、場所により周囲の粒に比べ大きい粒が観察された。それらを画像解析し、平均粒径、粒径分布の標準偏差を求めた結果、温度ゆらぎの無い場合に比べ、ゆらぎがある場合、それらの値が明らかに大きくなっていた。これは温度の変化により局所的に大きな粒ができたことによる。 フェーズフィールドシミュレーションでは、秩序変数を方位場変数と転位密度として組織の全エネルギーを記述し、その時間変化として回復・再結晶過程を調べた。対象が純金属であるので、全エネルギーは勾配エネルギーとひずみエネルギーの総和で記述した。その結果、ゆらぎの影響を与えなかったものはシミュレーション時間t=1200まで再結晶粒は発生しなかったが、ゆらぎの影響を与えたものはt=300の段階で小さな再結晶粒が発生し、t=1200では極めて不均一な組織となった。それぞれ粒径に対する標準偏差を算出した結果、t=0の段階ではゆらぎの有無で6.77と6.44とほぼ変わらないが、t=1200では13.82と46.24となり、局所的な不均一性はゆらぎの存在により顕著に大きくなることが確認された。 以上の結果から、回復・再結晶における結晶粒径の標準偏差という定量的な値から、ミクロ組織変化における局所的な不均一性をもたらす主要因は外部からのゆらぎエネルギーであることが明らかになった。
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