2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24656421
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
高澤 幸治 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20331952)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中空薄肉鉄球 / 発泡金属 / 鋳造 / 鋳ぐるみ |
Research Abstract |
JFEテクノリサーチ社の中空薄肉鉄球「TEC-BALL」を鋳型内に分散させ,そこに注湯することで,鋳物に発泡構造を形成し「超軽量鋳物」を実現するための要素技術を実験的に検討している.当初,初年度で,溶湯とTEC-BALL単体との相互作用について調べ,次年度で,TEC-BALLを分散させた小型単純形状の鋳物を試作する計画であった.しかし,初年度に予備実験として行ったTEC-BALL分散アルミニウム鋳物の試作で,予想以上に良い結果が得られたため,研究の主な流れを変更し,まずは,種々のTEC-BALL分散鋳物を試作し,それらの機械的性質を調べ,最後に溶湯とTEC-BALL単体との相互作用について調べることとした.研究計画・方法(概要)で示した4項目に関する成果は,次のとおりである. 1.大気圧不活性ガス雰囲気におけるアルミニウム溶湯とTEC-BALL単体との濡れ性・界面組織:互いにはじく状況であり,界面組織の評価は難しい.2.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALL単体の鋳ぐるみ:これに先んじて,予備実験的に計画3を実行したところ,良好な結果が得られたので,現段階では未実施である.3.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALLの鋳ぐるみ:黒鉛型の下部にTEC-BLLを充填し,上部にアルミニウム合金型を挿入したものを,焼結機に設置し,真空中でアルミニウムを溶解,型のプレスにより含浸させたところ,鋳造欠陥の少ないTEC-BALL分散鋳物が得られた.この鋳物は,見かけ密度がアルミニウムの約1/2となり,圧縮試験において低荷重の塑性変形領域が著しく広い結果が得られた.この時点で,本研究が目標とする特性の鋳物として,達成度は高い.4.高周波溶解炉を用いたTEC-BALLの鋳ぐるみ:予備実験的には,欠陥の多い鋳物となった.これは計画1の結果と共通する要因によると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,初年度で,溶湯とTEC-BALL単体との相互作用について調べ,次年度で,TEC-BALLを分散させた小型単純形状の鋳物を試作する計画であった.しかし,初年度に予備実験として行ったTEC-BALL分散アルミニウム鋳物の試作で,予想以上に良い結果が得られた.すなわち,本研究が目標とする鋳物の試作が成功している.そこで研究の主な流れを変更し,まずは,種々のTEC-BALL分散鋳物を試作し,それらの機械的性質を調べ,最後に溶湯とTEC-BALL単体との相互作用について調べることとした.そのため,研究全体として,これから実施するものもあり,進捗状況はおおむね順調,という程度であると考える.研究計画・方法(概要)で示した4項目における達成度所見は以下のとおりである. 1.大気圧不活性ガス雰囲気におけるアルミニウム溶湯とTEC-BALL単体との濡れ性・界面組織:互いにはじく状況であり,界面組織を評価することは困難.2.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALL単体の鋳ぐるみ:未実施.3.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALLの鋳ぐるみ:本研究が目標とする特性の鋳物として,達成度の高いものが得られた.今後,他の溶湯成分による鋳ぐるみを実行する.4.高周波溶解炉を用いたTEC-BALLの鋳ぐるみ:予備実験の段階で,欠陥の多い鋳物を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,放電プラズマ焼結機を用いて,アルミニウム合金以外(マグネシウム合金,銅合金等)のTEC-BALL分散鋳物を試作し,それらの機械的性質を調べる.あわせて,放電プラズマ焼結機を用いた鋳ぐるみにおける,各種溶湯とTEC-BALL単体との相互作用について調べる.最後に,高周波溶解炉(重力鋳造あるいは低圧鋳造)によるTEC-BALL分散鋳物の実現性について検討する.研究計画・方法(概要)で示した4項目に関する今後の方針は,次のとおりである. 1.大気圧不活性ガス雰囲気における溶湯とTEC-BALL単体との濡れ性・界面組織:手作業で,溶湯の中にTEC-BALLを押し込むことを試みる.2.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALL単体の鋳ぐるみ:各種溶湯成分について実施する.3.放電プラズマ焼結機によるTEC-BALLの鋳ぐるみ:アルミニウム合金の場合と同様に,マグネシウム合金や銅合金でTEC-BALLを鋳ぐるみ,機械的性質を調べる.4.高周波溶解炉を用いたTEC-BALLの鋳ぐるみ:鋳型内を不活性ガス雰囲気にする,押し湯を利用する,湯から型への熱伝達を抑える,等の対策を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の直接経費残\525千が発生した主な理由は次による.1)放電プラズマ焼結機の使用料が想定よりも安価になった(依頼先を変更した),2)放電プラズマ焼結機の使用回数が少ない段階で初年度としては必要十分な成果が得られたため,焼結機使用料,供試材料・加工費,黒鉛型作成費等が抑制された,3)黒鉛型の損傷・消耗が想定よりも少なく,追加の作成費用が抑制できた. H25年度の直接経費は\1,425千となり,次のとおり使用する予定である.1)物品費:鋳物用各種合金試料等=\330千,2)旅費:(放電プラズマ焼結実験出張@\90千)×4回+(分析等出張@5千)×3回=\375千,3)他:(放電プラズマ焼結機使用料@90千)×8日=\720千.
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