2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656421
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
高澤 幸治 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20331952)
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Keywords | 発泡金属 / 多孔質金属 / 鋳造 / 中空薄肉鉄球 / 放電プラズマ焼結 / 鋳物の軽量化 |
Research Abstract |
鋳物に新しい手法で発泡構造を形成し,超軽量鋳物を実現するための要素技術を実験的に検討した.具体的には,JFEテクノリサーチ社が開発した中空薄肉鉄球「TEC-BALL」(直径2,3,4mm)を予め鋳型内に分散させておき,そこに溶融金属を含浸させることで,粒度分布の狭い球形空隙群が分散した鋳物を作成した.得られた知見は以下のとおりである. 始めに,高周波溶解炉と金型を用いて,大気中でのアルミニウム合金溶湯の重力鋳造(含浸)を試みたが,鋳型内の空隙への含浸が不十分であり,欠陥の無い鋳物を得るのは困難であった.これは,TEC-BALLと溶融金属との濡れ性や,含浸のための押湯圧が十分ではなかったためであると考えられた. それらを改善するために,放電プラズマ焼結機内での溶解,含浸を試みた.具体的には,黒鉛ダイ(鋳型)にTEC-BALLと所定の金属バルク材を挿入して黒鉛パンチで押さえ込み,そのパンチに荷重を与えながら真空中で通電加熱をした.その結果,アルミニウム合金,マグネシウム合金,銅合金を用いた場合において,温度の上昇とともにバルク材の軟化,溶融が起こり,同時に付与されている圧縮荷重によって,溶湯が鋳型内の空隙に十分含浸された.得られた鋳物(直径30mm,高さ35mm)の見かけの密度は,含浸した金属の半分程度であった.この軽量化は,含浸不足による残存気孔ではなく,主にTEC-BALL内の空隙によるものであることが,X線CTおよび断面組織観察から確認された.また,これらの圧縮試験を行ったところ,先行技術による発泡金属と同様に,低い応力で降伏し,その後,一定の応力で大きな塑性変形を起こすプラトー領域が確認された.一方,鋳鉄を含浸した場合は,TEC-BALLの損傷が著しく,溶解および注湯に改善が必要であることが認められた.
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