2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24656510
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 主任研究員 (40192497)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 進化分子工学 / ペプチド触媒 / 非天然アミノ酸 / アルドール縮合 / mRNAディスプレイ |
Research Abstract |
ペプチド進化分子工学により、有機溶媒共存下で触媒作用をもつペプチド配列の探索を目指した。進化分子工学手法には、有機溶媒中でも安定な表現型―情報型分子の錯体を形成できるmRNAディスプレイ法を用い、生化学工業でも有用なアルドール縮合反応を触媒できるようなペプチドの探索を行った。アルドール反応はα位に水素を持つカルボニル化合物が、ジケトンと反応してβ-ヒドロキシカルボニル化合物が生成する反応である。 具体的には、一方の基質ジケトン体はtRNAにミスアシル化することで担持させ、無細胞翻訳系に添加することで、ランダム配列DNAの転写物からランダム配列ペプチド・ライブラリーを調製した。進化分子工学プロセスでは、ピューロマイシンを用いたmRNAディスプレイ法を使い、情報を担うmRNAと表現型ペプチドを共有結合で連結させた。他方のα位に水素を持つカルボニル化合物はスペーサーを介してビオチン化した。両者をジメチルホルムアルデヒド存在下で混合・反応させた後、自己触媒作用で縮合してビオチン化されたペプチドをアビジン・ビーズで釣上げた。採取したペプチド・mRNA複合体からmRNAをRT-PCRで転写・増幅し次のサイクルを行う。そしてまたセレクション・サイクルを行った。このサイクルを3回繰り返し、最終的に、RT-PCRした生成物からサブクローニングを行い、配列を決定することができた。 進化分子工学過程における有機溶媒使用は初めてであるとともに、機能性分子の探索のために非天然アミノ酸を用いたペプチド進化分子工学を用いることも世界初の試みである。今後本研究を進めることにより、有機合成化学と進化分子工学を融合した全く新しい「バイオものづくり」領域が展開できると期待でき、温和で精緻(特異的)な化学反応を可能にし、産業上も重要になることが期待できる。
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