2012 Fiscal Year Research-status Report
自己形成流動場を利用したダイバータの革新的除熱方法の開発
Project/Area Number |
24656555
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋爪 秀利 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80198663)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 流れの可視化 / 旋回流 |
Research Abstract |
現在計画中のITERでは、ダイバータ部での冷却方法としてねじりテープを挿入して旋回流を発生させるスワール管の導入が検討されている。一方、三次元接続二段エルボの下流では旋回流が発生することが実験的に分かっている。この配管レイアウトにより発生する旋回流をダイバータ冷却へ適応することで、圧損が大きいなどのスワール管の欠点を克服した冷却システムの実現が期待できる。 今年度はまず配管レイアウトで発生する旋回流の詳細を明らかにしダイバータ冷却への適用性を評価するために、PIV法を用いた配管内流動の可視化実験を行った。配管レイアウトとして三次元接続の二段エルボおよび三段エルボを用い、管壁をアクリル、中を流れる流体をヨウ化ナトリウム水溶液とすることで屈折率を適合させ、詳細な可視化を可能としている。 二段エルボ体系では管軸の曲率半径(R)と管直径(D)の比である曲率半径比(γ=R/D)が同じ90°エルボ2つを三次元的に直接接続し、γ=1.0および1.5のエルボを用いた。入口条件は発達乱流、レイノルズ数はスワール管による除熱実験の研究を参考にし15万と設定した。エルボ下流で発生する旋回流は管壁付近で局所的に大きな速度成分を持ち、その強度は実験を行った下流8D程度まで20 %程度の減衰しかせず、また曲率半径比が小さい方が強くなることが分かった。また流れ水平断面において運動量と熱輸送のアナロジーの観点から評価を行い、平滑管と比較して伝熱促進が期待される箇所が局所的にあることが分かった。 3段エルボ体系ではγ=1.0のエルボを用い、3つのレイアウトで実験を行った。その結果、エルボ下流に生成する旋回流の強度は2段エルボ体系の方が1.5倍以上強くなることが分かった。3段エルボ体系では3つのエルボの影響で流れが複雑化し、旋回流が発生しにくくなると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二段エルボを用いた評価について、当初の予定はほぼ終わっている。曲率半径比が1.0と1.5のエルボ(既存)では1.0の方が圧倒的に旋回流強度が強いという実験結果であり、その間の1.25のエルボを用いても1.0のエルボを用いた時よりも旋回流強度の増強が見込めなかったため、1.25のエルボを新規で製作して実験することを予定していたが取り止めている。その代わり、次年度に予定していた三段エルボによる可視化実験を前倒しして実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
発達乱流を入口条件と下二段および三段エルボを用いた実験から、旋回流強度は二段エルボ体系の方が強くなることが分かった。今後は入口条件を偏流などに変えて実験をし、旋回流の特性を評価する。また、流れの可視化をするだけでは実際の伝熱促進の程度の詳細は掴めないため、当初の予定にはなかった伝熱実験の実施を検討している。スワール管を用いた場合の実験も行い、エルボ下流に生成する旋回流との伝熱性能の比較を行うことで、ダイバータ冷却への適用について評価を行うことが重要と考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
エルボ入口流れの条件を、偏流および旋回流に変えるため、偏流板、スワラーを製作する。また伝熱実験のための試験部(スワール管および二段エルボ)をステンレスで製作する。その他の伝熱実験に必要なポンプ、熱源等は、既存のものを用いることで対応する。 また、今年度得られた成果を発表するための学会参加費・旅費などにも使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)