2013 Fiscal Year Annual Research Report
KCSAチャネルの1分子操作による構造機能相関研究
Project/Area Number |
24657110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井出 徹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60231148)
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Keywords | イオンチャネル / 1分子計測 / 単一チャネル電流 / 人工膜 / 蛍光 |
Research Abstract |
チャネルタンパク1分子のみを操作・照明できる光学系を構築することが目的である。力学刺激はプローブの操作によって導入し、分子間相互作用・構造変化は蛍光エネルギー移動などによって検出する。これを用いて、制御因子との結合解離、構造揺らぎと電流揺らぎを1分子レベルで同時計測することによって、KcsAチャネルタンパクの活性化に至る分子間、あるいは分子内情報伝達を実時間で直視可能とすることを目指した。具体的な研究成果は以下の通り。 1)光学系(単一チャネル電流記録法とSNOMの融合):1分子蛍光観察用顕微鏡上でガラスファイバーに固定したKcsAチャネルの1分子操作に成功した。また、ガラスファイバーへのレーザ照明の導入、及びプローブの操作系開発を行った。ここでは便宜的にSNOMと呼んでいるが、イメージングの必要はない(走査の必要なし)。 2)プローブ開発:本研究の最大の技術的特徴は、プローブに固定したチャネルを人工膜に直接挿入する再構成法にある。より組込効率を上げるため、プローブ先端の形状、表面修飾(各種PEG)、チャネルタンパクの固定法(His-tag、Av-tag等)、タンパクの可溶化法(ナノディスク、PMAL等)など、再構成条件を検討・改良することにより、計測効率を著しく上げることに成功した。 3)電流計測装置(人工膜装置):従来の人工膜法では、疎水性隔壁(テフロンフィルムなど)上の開口に膜を形成する。膜の揺動を防ぎ、膜下方よりの制御因子結合を観測するため、人工膜はアガロース層に支持される形で形成するが、人工膜の脆弱性等により技術的に極めて難しかった。そこで、本研究では新たに人工膜の形成法とチャネルタンパクの組込み法を開発した。ここでは、人工膜をアガロース層に接触させず、ガラスプローブ先端のみに形成した。これにより、従来法に比較して極めて高効率に計測が可能となった。
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Research Products
(4 results)