2012 Fiscal Year Research-status Report
世界最速ミオシン導入による植物成長促進システムの開発
Project/Area Number |
24658002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 光二 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302526)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ミオシン / アクチン / 車軸藻 / シロイヌナズナ / 原形質流動 |
Research Abstract |
世界最高速度をもつ車軸藻ミオオシンXIとシロイヌナズナミオシンXI-2とのキメラミオシンをつくり,アクチン滑り運動速度を測定したところ,シロイヌナズナミオシンXI-2と比べて,速度が2倍以上に上昇した。これと反対にシロイヌナズナミオシンXI-2よりも速度が1/10遅いヒトミオシンVbとシロイヌナズナミオシンXI-2とのキメラミオシンはシロイヌナズナミオシンXI-2と比べて,速度が数倍落ちた。これらの2つのキメラミオシンをそれぞれ,シロイヌナズナミオシンXI-2の遺伝子欠損株に導入したところ,車軸藻ミオシンキメラは原形質流動速度が数倍速くなり,一方,ヒトミオシンVbキメラは数倍遅くなった。これと呼応するように,地上部の茎,葉の大きさが車軸藻ミオシンキメラは大きくなり,ヒトミオシンVbキメラは小さくなった。これが,大きくなったのは,細胞数が増えたのではなく,細胞の体積が増えたことによることがわかった。一方,地下部,つまり,根の大きさは車軸藻ミオシンキメラを導入したものも,ヒトミオシンVbキメラを導入したものも変わらなかった。シロイヌナズナにはミオシンXIが13種類ある。これらの13種のシロイヌナズナミオシンXIはそれぞれ何をしているかはっきりとわかっていない。そのため,XI-2は地上部の葉,茎を大きくしたが,他のミオシンでは根,胚珠などそれそれの部位の大きさを変える可能性がある。そこで,次にシロイヌナズナミオシンXI-Kと車軸藻ミオシンとのキメラを作成した。現在,シロイヌナズナに導入して,その表現型の解析に進むところである。また,他の種類の植物,具体的にはイネについても車軸ミオミオシンとのキメラミオシンを作成して,イネに導入し,解析に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,世界最速の車軸藻ミオシンと種々の植物の種々のミオシンXIと分子キメラを作成し,植物の成長を促進させるシステムをつくることである。シロイヌナズナにはミオシンXIが13種類ある。また,イネには12種類ある。それぞれの植物でこれらの多種のミオシンXIは異なった場所で異なった働きをしていると考えられている。つまり場所でいえば,例えばあるものは葉ではたらき,あるものは根ではたらくように,異なっている。また,働きも原形質流動や張力や特定のオルガネラの運動など様々である。それらの場所や働きはほとんどわかっていないので,キメラミオシンによる植物成長システムを作るにあたって,様々なキメラミオシンXIをつくり,それらが実際に速い速度を出しているか検証したり,また,さまざまな植物に導入し,どのような表現型が出るか,それらを1つ1つ検証していく必要がある。また,原形質流動の影響かどうか検証するために,車軸藻ミオシンだけでなく速度の遅いミオシンとのキメラミオシンもコントロールとして必要である。これらを確実に1つ1つ検証していっており,当初の計画通りおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
車軸藻ミオシンとシロイヌナズナミオシンXI-Kとのキメラミオシンの速度や活性がどうなっているか詳細に解析する。そして,それらの速度や活性に対応して,植物体の成長の促進がみられるか。また,みられる場合はどの領域が,どの器官,どの組織がどのようにして成長の促進がみられるか検証する。シロイヌナズナミオシンXI-Kののちに,結果しだいで,原形質流動に関与していると考えられている。シロイヌナズナミオシンXI-B,シロイヌナズナミオシンXI-1についても同様におこなう。 イネについても車軸藻ミオシンとイネのミオシンXI-Bとのキメラミオシンの度や活性がどうなっているか詳細に解析する。そして,それらの速度や活性に対応して,植物体の成長の促進がみられるか。また,みられる場合はどの領域が,どの器官,どの組織がどのようにして成長の促進がみられるか検証する。また,イネでは胚珠の大きさがどうなっているかも詳細に解析する。 これらの結果によりキメラミオシンによる植物成長システムの系の確立をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] ミオシンXI の1 分子解析2012
Author(s)
森川 高光, 岩城 光宏, 伊藤 光二, 木村 篤, 富永基樹, 池崎 圭吾, 小森 智貴, 藤田 恵介, 中野明彦, 山本 啓一, 柳田 敏雄
Organizer
日本植物学会第76回大会
Place of Presentation
兵庫県立大学姫路書写キャンパス
Year and Date
20120916-20120916
Invited
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[Presentation] 分子レベルから眺める原形質流動2012
Author(s)
富永 基樹, 伊藤 光二, 小嶋 寛明, 横田 悦雄, 山本 啓一, 新免 輝男, 大岩 和弘, 中野 明彦
Organizer
日本植物学会第76回大会
Place of Presentation
兵庫県立大学姫路書写キャンパス
Year and Date
20120916-20120916
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