2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内移動性mRNAの開発に向けたウイロイド結合タンパク質の同定と機能解析
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24658027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細川 宗孝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40301246)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キク / ウイロイド / キクわい化ウイロイド / 長距離移行 / タバコ / 抵抗性 / 遺伝子組み換え / 細胞間移行性 |
Research Abstract |
1.キクのCSVd結合性タンパク質のスクリーニング 本法を用いていくつかのCSVd結合性タンパク質候補の回収に成功した。そのうちの2スポットについてMALDI TOF-MS分析に供した。得られた結果はいずれの植物のデータとも一致しなかった。アミノ酸シークエンスからDNAを同定するため、ディジェネレートプライマーを設計したがDNAの同定には至らなかった。キクのタンパク質データが不足していることが主な原因であり、今後実験系を修正する必要が考えられた。そこで、タバコ(Nicotiana benthamiana)を用いたモデル実験を構築し、タバコの中から候補タンパク質を決定し、キクの発現解析をしようと試みた。 ・Nicotiana属の植物でCSVdに感受性の種と非感受性の種を確認し、N.benthamianaを実験に用いた。 ・N.benthamianaにCSVdを感染させ、病徴が発現しないことを確認したうえで、RNAを抽出し次世代シークエンサーで解析した。対照区はCSVdを感染させていないbenthamianaを用いた。CSVd感染benthamianaにはCSVdの増殖・移行に必要なタンパク質をコードするRNA発現に変化が見られるはないか、という想定である。現在、結果を解析中である。 2.細胞間移行に関わる結合性タンパク質の決定 本年度は前年度までに選抜した、抵抗性候補を接ぎ木試験で詳細に絞り込み、精の一世型および鞠風車型の抵抗性を見出すことを目的とした。精の一世型としては数品種が選び出され、鞠風車型としては1種類のみが選び出された。これらの品種を用いて1で解析された候補遺伝子の発現を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、想定していたキクからのCSVd結合性タンパク質のスクリーニングは予想通りの結果が得られなかった。これはキクのタンパク質データベースの情報の不足によるものと判断した。そこで、実験を加速するためにいったん情報が豊富なモデル植物としてのタバコを利用しCSVd結合性タンパク質のスクリーニングを行うこととした。次世代シークエンスの解析を現在行っているがおおむね興味深い結果を得ることができている。今後、キクから相同性タンパク質をコードするRNAやDNAを同定し、発現解析を行うことで当初の予定を達成できるものと考えている。また、タバコの組み換えによってRNAを過剰発現させたり、ノックアウトしたりするための実験系も開発することができた。次世代シークエンスの結果がまとまり次第、順次タバコの組み換え体を作成する予定である。さらには、様々なCSVdの部分配列を過剰発現させたタバコ(Nicotiana benthamiana)を数系統準備しており、本年度の結果を次年度で展開できるだけの準備は整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーで解析したCSVd感染タバコと非感染タバコのRNAseq結果に基づき、CSVd感染葉で特異的に発現している、あるいは抑制されているRNAを順位を付けて抽出する。そのタンパク質の相同タンパク質をコードする核酸をキクから同定し、RNA発現解析などによって抵抗性・非抵抗性品種での発現比較を行う。なお、抵抗性と非抵抗性品種に関しては昨年度の実験から新たに数系統確保している。発現の異なるタンパク質を過剰発現させる組み換え体をタバコで育成し、CSVdを感染させた後のCSVd濃度の上昇をリアルタイムPCRで確認する。さらに発現抑制に関しても調査するが、組み換え体あるいはウイルスベクター(TRV)に組み込んだベクターを用いて行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、リアルタイムPCRの試薬およびプラスチック消耗品費として支出する。また、TRVベクターの作成、タバコ組み換え体の作成に10万円程度必要である。タバコの育成に要する培地などの費用も一部支出する予定である。
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