2013 Fiscal Year Research-status Report
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24658051
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渡辺 雅夫 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00034992)
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Keywords | 超音波 / 農業害虫 |
Research Abstract |
本研究は、昆虫の超音波反応性を調べることにより、昆虫の聴覚における感覚世界の理解を深めて、昆虫の聴覚特性に合う音量単位を検討することを目的にしている。 25年度の研究計画は、ノシメマダラメイガの超音波反応特性の測定、および前年度のヨトウガの聴覚特性を知るための超音波反応特性の測定の補充実験を予定していた。まず、ノシメマダラメイガなどの飼育に関して温度勾配恒温器を導入することで、生育期間を調節できるようにして、飼育環境を良好にすることから始めた。温度勾配恒温器は乾燥に注意することが必要であったが、ノシメマダラメイガ、オオタバコガの生育期間を短縮または延長することで成虫の羽化を同調させるなど、飼育の労力を減らすことができた。 ノシメマダラメイガの超音波反応性については、反応は見られるが、雄蛾のフェロモン誘引性、雌蛾の米ぬか誘引性に対して、超音波パルスの存在による忌避行動を誘発する傾向は限定的であった。 ヨトウガでみられた、特定のパルス長・パルス頻度に対して反応閾値が低い現象、さらに慣れの現象が、胸部神経節ではなく、胸部縦連合を通って脳に送られ、そこで認識されていることがわかった。また、脳・食道下神経節を切除した個体でも、超音波反応が見られたことから、胸部神経節内にも超音波反射の神経回路があることが示唆された。このことから音響感覚の特性を、脳・食道下神経節と、胸部神経節に分けて検討することが必要となってきた。次年度、この視点で研究を進め、まとめて行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
夏以降、ヨトウガの受精卵が得にくくなった(特に雄に問題が発生したと思われる)。11月以降にヨトウガの飼育系は復活させたが、原因は飼育していた大型の恒温器2台の冷却装置の不調により、飼育環境温度が高くなったことが考えられる。材料供給の問題から、実験がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨトウガでの神経応答の測定方法も整っているので、脳・食道下神経節と胸部神経節を結ぶ胸部縦連合部域で神経応答を測定することと、頭部を切除した個体での胸部神経節の入出力での応答性に分けて測定をし直して、それぞれの音響に対する反応特性をまとめていく。また、ノシメマダラメイガについては、ヨトウガでみられた反応閾値の低い特定のパルス長がみられなかったため、音響反応への脳の関与について検討することから始めて、音響感覚世界をまとめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
夏以降、ヨトウガ(特に雄に不妊性と思われる)受精卵が得にくくなったため、秋に予定していた飼育補助を見送った。飼育系の復活に力を入れ、12月末以降に実験ができる状況を作ることができたが、時期的に、実験補助者を動員することが困難であったため、次年度に使用することにした。 次年度予算については、ヨトウガ飼育のための人工飼料材料などの消耗品、飼育などの補助者への謝金、成果発表のための旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)