2014 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫体内の微量元素の質的量的解析と気象解析に基づく昆虫の長距離移動特性の解明
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24658058
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
沢辺 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 部長 (10215923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 年則 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (10300930)
駒形 修 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20435712)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 長距離移動 / 日本脳炎媒介蚊 / 飛翔エネルギー / 放射光照射法 / 中性子放射化法 / PIXE分析 / 流跡線解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年度よりコガタアカイエカの微量元素分析について仁科記念サイクロトロンセンター(NMCC)でPIXE分析を実施した。本年度は2008~2010年フィリピンおよびベトナムで捕集した個体、実験室内で維持された個体(感染研系統)、2013年・2014年に千葉市および新宿区で捕集されたヒトスジシマカの合計17個体の部位別(頭部と胸部、腹部、脚部、翅部など)のPIXE分析を行った。得られた元素分析結果についてクラスター解析を行った。「飼育条件が同じであれば元素組成は類似して同一クラスターに属する」という仮説に基づいて同一クラスターに属する条件を検索した結果、「頭部と胸部」について13元素(Na, Mg, P, S, Cl, K, Ca, Mn, Fe, Cu, Zn, Br, Sr)を対象とした場合が該当した。蚊の「頭部と胸部」中の元素含有率に基づくクラスター解析は、コガタアカイエカの発生源を推定する手法の一つとして有用であることが示唆された。
2010~2014年に富山県および新潟市の各定点調査地で捕集されたコガタアカイエカの発生消長をNOAA(アメリカ海洋大気庁)が提供する気象情報をもとに上空800~1,000 mの後方流跡線解析(解析モデル:Hybrid Single Particle Lagrangian Integrated Trajectory Model)を行った。年次変動はあるものの、新潟市で捕集数のピークが見られたほぼ前日に富山県でも同様のピークが見られたことから、同じ気流で飛翔、または移動してきた可能性があることが推察された。NOAAのデータが示すように、いずれも狭い範囲の中での移動であることから、海外からの長距離飛翔ではなく国内で発生した本種蚊が長距離飛翔したと推測した。
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