2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物体の地上部に高濃度の亜鉛を蓄積させる篩管内を長距離移行するシグナルの解明
Project/Area Number |
24658065
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究副主幹 (20391287)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グルタチオン / 篩管 / 亜鉛 / PETIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々な生理活性を持つトリペプチドのグルタチオンが植物の葉において機能し、植物体の地上部への亜鉛の移行と蓄積を活性化する現象の引き金となる篩管内を長距離移行するシグナルを解明することである。 これまでの研究によって確立することができた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の実験系を用いて、アブラナより採取した篩管液中の酸化型および還元型グルタチオンの分析を行った。この分析に用いるためのアブラナ篩管液はサンプリング時のグルタチオンの酸化反応を抑制するため、専用のチャンバーを用いて窒素雰囲気下で採取した。その結果、これまでの測定では大きなばらつきが見られた篩管液グルタチオンの酸化・還元状態が安定して、実験結果の再現性が大きく向上した。そして、アブラナの篩管内を長距離移行するグルタチオンの酸化型、還元型の存在比は葉へのグルタチオンン施用によって変化していた。また、この篩管内を移行するグルタチオンの酸化型・還元型の存在比は葉に与えるグルタチオンの化学型によっても変化した。このような実験結果は葉に与えたグルタチオンに応答して、篩管内を移行するグルタチオンの酸化還元状態が変化して、シンク組織である根における細胞内の酸化還元状態にも影響が及んでいる可能性を示している。このような根における酸化還元状態の変化が根での亜鉛の吸収や亜鉛の系方向移動に影響を及ぼしてるのではないかと考えられた。 また、この現象をポジトロンイメージング技術を用いて、可視化することにも成功した。現在はこれまでに得られた研究成果をまとめ、学術論文を投稿するための準備をしているところである。
|