2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 峰崇 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80379130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 応用微生物学 / 酵母 / 染色体工学 / ゲノム工学 / リボソームRNA |
Research Abstract |
核酸調味料の供給源として重要なRNAの生産には、自然界から分離したrRNA 高含量酵母が使われており積極的な育種は行われていない。その理由は、約150コピーあるrRNA(リボソームRNA)遺伝子のコピー数を増加させる方法論や、rRNA遺伝子転写の恒常性維持機構(feedback inhibition)の複雑さにより転写を上昇させる方法論が無いことによる。RNA 含量を2倍にでも増加させることができれば産業的な意義には大きなものがある。本研究では、i) rRNA転写のfeedback inhibitionが解除された変異株を単離する。ii) この変異株において、申請者らが開発した革新的ゲノム工学技術を利用して、rRNA遺伝子のコピー数を一挙に300コピーにまで増幅し、RNA高生産能を持つ酵母を育種することを目的した。 まず、i)について、rRNA合成能が低下し、極小のコロニーしか形成しないrrn10破壊株から、通常の大きさのコロニーを形成する抑圧変異株を9株分離した。これらの抑圧変異株にRRN10野生型遺伝子を導入したところ、野生型株よりRNA含量が上昇した株を見いだした。次に、染色体分断技術を利用して抑圧変異株のrDNA クラスターの左端と右端を分断し、rDNA遺伝子だけからなる染色体を構築した。その後、このrDNA染色体(TRP1でマークされている)を持つ株と、接合型を変換した同じ抑圧変異を持つ株とを交雑し、雑種二倍体を得た。この雑種二倍体の減数分裂分離株から、rRNA遺伝子クラスターを2セット(rRNA遺伝子は300コピー)持つ株を取得した。これらの株のRNA含量を測定したところ、野生型株よりRNA含量が1.5倍に増加していることがわかった。また、これらの実験と平行して、rRNA合成に必須の遺伝子であるRRN5遺伝子の破壊変異を生存可能にする抑圧変異株も9株分離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に順調に進展している。その理由は、rrn10破壊株だけでなく、新しくrrn5破壊株からも抑圧変異株が取得できたこと、また、染色体分断技術がうまく機能し、所定のrDNA遺伝子クラスターだけからなる染色体が構築できたことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
rrn5破壊株から分離した9株の抑圧変異株(Sup13、Sup14、Sup15、Sup16、Sup17、Sup18、Sup19、Sup23、Sup24)の遺伝解析を行う。具体的には、優性劣性試験を行うために、抑圧変異株と野生型RRN5遺伝子を持つrrn5破壊株を交雑し、雑種二倍体を作成する。この際、一方の親株であるrrn5破壊株には、野生型RRN5遺伝子を持たせる必要がある。その理由は、抑圧変異が劣性変異であれば、交雑二倍体そのものが生育できないからである。作成した雑種二倍体を、RRN5遺伝子を持つプラスミドが脱落する5-FOA培地上で培養し、雑種二倍体生育するものを優性、しないもとを劣性として分類する。 次に、抑圧変異株が持つ変異の個数を知るため、作成した雑種二倍体の四分子分析を行う。雑種二倍体において、増殖、非増殖の表現型が2:2分離を示すものを単一変異と判定し、原因遺伝子のクローン化を行う抑圧変異株を選別する。その後、9種の抑圧変異株に野生型RRN5遺伝子を導入し、形質転換体の全RNA含量をPCA法(過塩素酸でRNAを抽出し、単位細胞乾燥重量あたりのRNA重量を定量する方法)で測定する。これらの結果より、こうした育種戦略が、野生型株よりRNA含量が高い菌株を育種することに有効で有るか否かを判断する。さらに、遺伝子クローニングを行うことによって、原因遺伝子を突き止め、この遺伝子の機能強化や機能喪失によって、更にRNA含量を高くすることが可能どうか検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画について特段の変更は無い。従って、RNA含量を測定するために、必要なreal-time RT-PCRの試薬や遺伝解析に必要な培養基やプレートの購入費用、抑圧変異遺伝子のクローニングに成功した時に必要な、塩基配列決定のための費用、成果発表のための国際会議参加費用、論文作成のための英文校閲の費用などが主なものである。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Large-scale genome reorganization in Saccharomyces cerevisiaethrough combinatorial loss of mini-chromosomes.2012
Author(s)
Ueda, Y., Ikushima, S., Sugiyama, M., Matoba, R., Kaneko, Y., Matsubara, K., Harashima, S.
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Journal Title
J. Biosci. Bioeng.
Volume: 113(6)
Pages: 675-82
DOI
Peer Reviewed
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