2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 範久 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00282567)
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Keywords | マツタケ / 共生 / 外生菌根 / 根分け / アカマツ / クロマツ |
Research Abstract |
マツタケを人工栽培するためには,「シロ」と呼ばれる外生菌根と菌糸の集合体を形成させる必要がある。本研究では,「マツタケ菌根苗に別種の外生菌根菌を接種して宿主の成長を促進させることにより,マツタケのシロを形成・発達させる」という新たな方法の確立に挑戦した。平成25年度は,以下の成果が得られた。 1.同一個体の根系中に条件の異なる部分(部分根系)をもつアカマツの分根培養系を効率良く作成するために,挿し穂の週齢と挿し床の水分条件を検討し,挿し木の最適条件を決定した。また,同じ条件でクロマツの分根培養系も効率良く作成できることを確認した。 2.クロマツ分根培養系への外生菌根菌の接種方法を検討し,部分根系ごとに異なる外生菌根菌を感染させる方法を確立した。 3.アカマツ分根培養系を用いて,部分根系ごとに菌根共生条件や窒素添加量を変えた栽培を行い,各部分根系の成長量と窒素含有量から,共生系内における窒素の吸収と転流を推定した。その結果,部分根系の成長量は,菌根菌を接種した根系に高窒素濃度の肥料を与えた区で,菌根菌を接種した根系が未接種の根系よりも有意に大きかった。このことから,アカマツでは,土壌中の窒素濃度が高く,かつ菌根が存在する根系へ,より多くの光合成産物が分配されると推測された。部分根系の窒素含有量は,菌根菌を接種した根系に高窒素濃度の肥料を与えた区で,菌根菌を接種した根系が未接種の根系よりも有意に多かった。また,これらの処理区の未接種の根系の窒素含有量は,対照区の根系と有意な差がなかった。これらのことから,菌根が存在する根系から吸収した窒素は,菌根が存在しない根系へは転流されないと推測された。
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