2013 Fiscal Year Research-status Report
人工林施業が表面流の時空間分布と侵食土砂の渓流内移動に与える影響
Project/Area Number |
24658135
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
沼本 晋也 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60324555)
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Keywords | ヒノキ人工林 / 森林管理施業 / 表面流量 / 土壌侵食 / 土砂流出 |
Research Abstract |
近年の人工林,特にヒノキ人工林の手入れ不足から過密林となって林内照度が不足し,下層植生が衰退することにともなって土壌侵食や土砂流出する現象が問題視されているが,実際に人工林であればどこでも同じように問題が起こっているわけではない.この視点から,地形,植生,林況,地表面状態を考慮したうえで,山林の実際の林地において土壌・土砂移動現象の実態を捉えることが計画の主体であった.しかし,三重大学平倉演習林の位置する紀伊半島で広域に多大な被害をもたらした台風12号の影響を受け,演習林では1200mmを越える雨量を観測し,管理等,自動車道,作業道に多大な被害を発生した.また,大規模斜面崩壊(地すべり)が発生し,本研究で試験プロットを設定する予定だったヒノキ人工林の急斜面でも崩壊土石流が発生し岩盤が露出するに至った.試験プロットを計画した8林班斜面での既往プロット及び機器は流失したため,同斜面に隣接する7林班斜面わさび谷において,土壌侵食現象に直結する地表流発生状況とその発生時刻,変化タイミングを捉えるため,地表面付近を流れる速い流出成分の観測を開始した.平成25年度の観測結果において特筆される項目として夏季渇水が挙げられる.夏季渇水時の高温かつ乾燥した表層土層と表面を雨水が流下する様子を観測した.同斜面において表層地温の鉛直分布および土壌水分の経時変化についても観測を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を実施予定で既往の研究実績のある斜面が,台風12号被害からの復旧遅れの影響を受け,全体的に遅れ気味である.当初予定していた斜面におけるプロット復旧は概ね完了しているが,平成25年度が寡雨年(夏季渇水)だったこともあり,十分に降雨イベントを取得できていない状況である.一方,隣接する7林班斜面で開始した地表面付近の速い流出成分の観測においても同様の理由により得られたイベント数は限られている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度まで,観測体制の整備,観測イベント数,いずれも十分得られなかったことから,今年度,確実に降雨イベントを捕らえること,特に台風や前線性強雨イベントを観測することに重点を置く.また,現地観測できる自然現象自体が多くない可能性も考慮し,透水性や表面流に関連する現地試験項目を設定し実施する計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の台風被害復旧に時間を要し,当初予定していた試験プロットの再設定が遅れているため. 当初計画で試験プロットを設定する予定だった林地斜面は基本的に変更せず,林内雨水及び表面流の観測装置を設定することと,経時観測によらず現地計測が可能な項目,及び,採取後,実験室にて計測可能な土壌水分特性等の項目について,計器を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)