2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阪上 宏樹 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40604822)
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Keywords | バイオインサイジング / ピットイーター / 微生物 / 腐朽 / スギ / 赤心 / 黒心 |
Research Abstract |
本研究では微生物を意図的に操作し、直接ピット(壁孔)に孔をあけるバイオインサイジング技術に着目し、スギ心材のピットに限定して、最も効果の期待できる微生物を発見し、その最適処理法の検討とその効果を評価することである。平成24年度は全国各地からスギ心材に生育できる微生物を採取することを目的に、沖縄県および北海道にはスギ黒心材、赤心材を設置し、沖縄県、鹿児島県、大分県、福岡県、千葉県、富山県、北海道の人工林および天然林からスギの落枝を採取して材内に生育する微生物を分離・培養した。採取した微生物をDNAにて同定した結果、同定できた微生物は61種類、同定できなかった微生物は7種類だった。同定できた微生物をタイプ毎に分類すると木材腐朽菌6種類、変色菌14種類、その他腐生菌41種類に分類できた。 平成25年度は、採取地を新たに増やし、宮崎県、熊本県の人工林から同様に微生物を採取して同定した結果、新たに木材腐朽菌4種類、変色菌15種類、その他腐生菌24種類を得られた。その後、愛媛県、高知県、徳島県、新潟県、秋田県、広島県、島根県、鳥取県でも採取し、分離および純粋培養を行っている。 同定できた木材腐朽菌10種類のうち6種類をスギの辺材および赤心材、黒心材の小試験片に1ヶ月間の接種試験を行った結果、辺材では5種類、赤心材では3種類、黒心材では2種類が木口面から15mm部位で微生物の存在が確認でき、それらはピットを通過していることが光学顕微鏡および電子顕微鏡の結果から明らかとなった。よって黒心材に侵入できた2種類の腐朽菌は薬液の浸透性向上に寄与する可能性が高いことが示唆された。 今後は接種試験が未調査の腐朽菌および変色菌を対象にスギの黒心材に接種し、心材のピットを破壊可能な微生物を探索すると供に実大材でバイオインサイジング処理し、薬液の注入性を評価する予定である。
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