2013 Fiscal Year Annual Research Report
魚類最終成熟誘起ステロイド産生メカニズムの定説を覆す
Project/Area Number |
24658165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 伸次 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (40231930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井尻 成保 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (90425421)
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Keywords | 水産学 / 生理学 / 最終成熟 / サクラマス |
Research Abstract |
昨年度までに、サクラマスの最終成熟誘起ステロイドである17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)を合成する酵素、20βHSDをコードする遺伝子としてhsd17b3likeを同定した。また、in vivoにおいて、20βHSD遺伝子は卵成熟直前に初めて発現すること、その発現は卵巣に限られ、また、血中DHP濃度の変化と極めて良く一致することを示した。本年度は、培養顆粒膜細胞におけるhsd17b3like遺伝子発現誘導を調べ、以下の点を明らかにした。1)早くも、卵黄形成後期の卵成熟2ヶ月前の顆粒膜細胞において、サケ脳下垂体抽出物(SPE)によって20βHSD遺伝子発現は誘導される。しかし、DHPの前駆体である17αOHPを添加してもほとんどDHPが合成されないことから発現酵素量は比較的少ないのではないかと考えられた。2)卵成熟直前の顆粒膜細胞ではSPEによって強烈に20βHSD遺伝子の発現が上昇する。17αOHPをDHPに転換する能力も同様に高まる。3)卵成熟完了後の排卵後卵濾胞では低量ながらhsd17b3like mRNAが残存しているが、SPEを添加しても再びその遺伝子発現を誘導することはできない。4)卵成熟期の17αOHP産生制御機構についてはcyp17a2遺伝子の完全長クローニングが完了しておらず、未解明に終わった。以上の結果から、これまで20βHSD酵素として考えられていたCR20βHSDではなく、hsd17b3とhsd17b12の間に位置する新規酵素hsd17b3likeが、サクラマス最終成熟期にDHP産生を制御する酵素であることを、in vivoの発現状況と血中DHP量との関係、およびin vitroにおけるhsd17b3like遺伝子発現誘導とDHP産生能との関係を明らかにすることを証明した。
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Research Products
(1 results)