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2013 Fiscal Year Research-status Report

「耕脈」からみた水田農業の構造変化:社会システム論からの接近

Research Project

Project/Area Number 24658195
Research InstitutionMie University

Principal Investigator

石田 正昭  三重大学, 生物資源学研究科, 招へい教授 (80144228)

Keywords耕脈 / 水田農業 / 農地基本台帳 / 農業センサス / 農業構造動態 / 集落個性 / ソーシャルキャピタル
Research Abstract

平成25年度は、佐賀県吉野ヶ里町(旧東背振村)上石動・下石動・西石動地区と、山形県酒田市(旧八幡町)大島田地区の2地区で耕脈調査を行った。およそ30年前に愛知県農業試験場の西尾敏男氏が行った耕脈調査の追跡調査であるが、これについては農地賃貸借・作業受委託に精通する集落代表者(農業委員)から現在の賃貸借・受委託関係とそれに基づく30年間の動向についての聞き取り調査を行った。
佐賀県の上石動・下石動・西石動地区の耕脈調査は2年目に入ったが、前年度とは違ったメンバーによって前年度調査結果の確認をして貰うとともに新たな情報収集に努めた。この調査は現在も継続中である。一方、山形県の大島田地区の耕脈調査は初年度であるが、この地区については西尾氏作成の耕脈調査原票がないため、30年間の個々の農家の動向というよりも30年前と現在の農業構造の比較を行っている。
両地区の耕脈調査から判明してきたことは、新たな耕脈が生まれているということである。例えば、佐賀県の上石動・下石動・西石動地区では、下石動地区の分家筋から生まれた後継者と上石動地区の農業者が共同で立ち上げた農業法人への農地集積が進んでいるが、同時に各地区にはそれぞれの集落個性がある。また、山形県の大島田地区では、集落営農(任意団体)への作業委託が進んでいる。変化のスピードは決して速くはないが、確実に変化していると評価できる。
こうした耕脈調査を進めたほか、30年間の間隙を埋める必要から、農業センサス個票を利用した構造動態分析を行おうとしている。ただし、集落(大字)レベルでの農業センサス個票の利用は難しく、もう少し広い範囲、例えば旧町村レベルの分析に移行する必要があると考えている。
なお、平成25年度は、本研究の中間報告の意味を兼ねて、第63回地域農林学会岡山大会において「農地基本台帳、農業センサスを利用した『耕脈』調査の有効性」を発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

30年間の構造動態を2時点間で比較することにやや無理がある。世代交代の期間としての30年間は不適当ではないが、賃貸借・受委託の変化を捉える期間としては、やや時間が空きすぎている。
また、山形県酒田市の大島田地区のように、西尾氏の調査原票のない地区では、市町村合併と個人情報管理強化により農業委員会事務局の協力が得られにくくなっており、耕脈調査そのものの遂行が難しい状況にある。このため違ったアプローチを検討する必要が生じている。
以上の理由から、調査原票のない甲信越・東海・中国地域における耕脈調査はこれを実施しない方向で検討を進めている。と同時に、耕脈調査に代わって5年おきに行われている農業センサスの個票分析と農業構造動態報告書を活用した分析へ移行することを考えている。

Strategy for Future Research Activity

①これまでと同様に、佐賀県吉野ヶ里町の上石動・下石動・西石動地区、山形県酒田市大島田地区において耕脈調査(聞き取り調査)を実施し、その調査結果に基づく構造動態分析を完成させる。
②①の耕脈調査に対応して、5年おきに行われている農業センサス個票を使った構造動態分析を実施するとともに、規模拡大・規模縮小の原因を究明するための統計分析の手法を開発する。
③耕脈調査は、ある意味で集落のソーシャルキャピタルのあり様を明らかにするという意義を持っている。この観点に立って、西尾氏の耕脈調査地区を中心に全国各地で策定されている人・農地プランの事例調査を行い、そこで配慮されている人間関係・社会関係とはどのようなものかを明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

30年前に行われた耕脈調査の個票(西尾敏男氏作成の調査原票)が私の手許にない場合、詳細な現地調査の実施は難しく、調査回数を増やすことができず、旅費の執行が遅れている。
以上の理由から、調査地区数の拡大は見合わせ、調査対象先はこれまで行ってきた佐賀県吉野ヶ里町と山形県酒田市の2地区に絞ることとする。ただし、これを補完するための措置として、西尾氏によって耕脈調査が行われた甲信越・東海・中国地域の人・農地プランの策定状況を調査し、耕脈調査からみた水田農業の構造変化分析の有効性を確保する。また、新たに農業センサス個票を使った農業構造動態分析に挑戦し、「耕脈」概念に沿ったファクトファインディングスの抽出に努める。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 農地基本台帳、農業センサスを利用した「耕脈」調査の有効性

    • Author(s)
      石田正昭
    • Organizer
      地域農林経済学会
    • Place of Presentation
      岡山大学
  • [Remarks] ようこそ”協同の世界へ”石田正昭のホームページ

    • URL

      http://jaef.coocan.jp/coop/

URL: 

Published: 2015-05-28  

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