2012 Fiscal Year Research-status Report
肝臓中microRNAの発現変動が薬物代謝酵素活性に及ぼす影響
Project/Area Number |
24659074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中島 美紀 金沢大学, 薬学系, 准教授 (70266162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 転写後調節 / 薬物動態 / 個人差 / 発現変動 |
Research Abstract |
本研究ではヒト肝臓中miRNAの発現量が外来からの刺激によって変動した際に薬物代謝酵素群が受ける影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、ヒト肝臓中miRNAの発現量が薬物によってどの程度変動するか、リファンピシンを例として検討し、薬物代謝酵素群を含む標的遺伝子産物の発現変動との関係を探った。ヒト肝初代培養細胞を10 µMリファンピシンで処置した時、40種類のmiRNAが2倍以上の発現量の変動を示した。この時、CYP3A4やCYP2C9などを含む165種類の転写産物の発現変動も認められ、miRNAとmRNAの発現変動が逆方向で、miRNAとその標的遺伝子の組み合わせとなるものが16種類存在した。薬物によるmiRNAの発現変動が標的遺伝子の発現をもたらしている可能性が示唆された。 また、C/EBPやNFI-Aなどの転写因子によって発現制御されているmiR-223がヒト肝臓中シトクロムb5の発現制御に関わっていることを明らかにした。24検体のヒト肝臓において、miR-233発現量とシトクロムb5のmRNA量または翻訳効率との間に有意な負の相関関係が認められた。シトクロムb5は電子供与やアロステリック効果によりシトクロムP450酵素活性を分子種依存的に上昇させる小胞体膜蛋白質である。miR-223によるシトクロムb5の制御機構は、シトクロムb5依存的分子種であるCYP3A4やCYP2E1の酵素活性を変動させ、一方でシトクロムb5非依存的な分子種であるCYP1A2の酵素活性には影響を与えないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表を行い、国際学術雑誌に論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト初代培養肝細胞にmiRNAを過剰発現または内因性miRNAをノックダウンし、標的遺伝子の発現変動を検討する予定であるが、通常の培養方法では播種後に薬物代謝酵素群の発現が大きく低下することが問題点となる。そこで、発現低下を抑制できることで近年注目されている三次元培養プレートを利用し、miRNAを過剰発現または内因性miRNAをノックダウンさせる方法を確立した上で検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)